一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

ナンパ師は存在するだけで人を傷つける

 前回の記事の続き。

思い出すと、僕のテンションが下がる話。

 

alonewolf-memorandum.hatenablog.com

 

一匹狼人生史上、最もスト値が高い女の子をゲットすることができた。

板野友美に似ているので、友美としよう。

 

彼女とはクラブで知り合った。

彼氏持ちで、かつ同棲もしている子だった。

僕は、ナンパ師としての経験を上げたかったので、どうしても彼女と寝たかった。

それだけの理由で、彼女を口説いていた。

 

「彼氏持ちの方が簡単に落とせる」

先輩ナンパ師さんのブログなどには、そう書かれていた。

実際、彼氏は定職にもついておらず、友美にとって不満もあるようだった。

そんな彼女とは4回目のデート後に身体を重ねることになる。

愛情のないセック〇だった。

 

行為のあと、彼女の顔にはとても強い後悔が現れていた。

彼女はそそくさと帰って行った。

 

 

しかし、数日後、彼女から「彼氏と別れた」とメッセージがきた。

これからは僕と一緒に過ごしたい、

生活リズムは合わないけど時間はできるだけ作る、

あなたのような年上の彼氏と付き合っていろんな世界をもっと知っていきたい。

こんな趣旨の話がくっついていた。

 

 

「付き合う」

という明確な意思表示はなかったけど、それから友美とも半恋人的な付き合いをするようになった。

勢いも大切だから、吹っ切れて僕と過ごしたいと言ってくれていた。

たまに、彼女の家に行くと、忙しい中料理を作って待っていてくれた。

 

 

しかし、僕には優香という大好きな女の子がいた。

優香とは即をしてから、相変わらず仲良くしていた。

彼女は土日休みで、毎週日曜に会う約束をしていた。

金曜・土曜はナンパ師のかきいれ時である。

また、平日は僕が夜が遅かった。

 

そうするとなかなか友美と会う時間が取れなかった。

 

夏休みに僕が優香と2週間ほどアメリカに旅行に行った。

その間、友美とは連絡を取らなかった。

正直、びっくりするほど彼女が気にかからなかったのだ。 

きっと、僕は彼女に興味がなかったのだろう。 

 

 

アメリカから帰国し2週間ほど経った頃、友美に呼び出された。

久しぶりにちゃんとしたお店でご飯でも食べよう、と誘われた。

 

そういえば、友美と深い関係になってから、ちゃんとしたお店に連れていってあげていなかった。

たまにはいいところに連れていってあげようと思い、丸の内のレストランでディナーを食べることになった。

 

よく考えると、友美と会うのは久しぶりだった。

東京駅の丸の内中央改札で待ち合わせた。

友美は先に着いてスマホをいじっていた。

 

こちらに気がつくと、 

あぁ、お疲れ。

 

そっけなく彼女は言う。

 

 

レストランに移動した。

 

いつも通り、奥の席に通し、エアコンの温度について尋ねる。

メニューを友美の方に向け、最初の飲み物を聞く。

いくつかの前菜を挙げて、選んでもらう。

 

 

なんだか、とても他人行儀だった。

 

これは、おかしいなと思った。

二人の間に気まずい空気が流れていた。

 

急いで店員を呼び、ファーストオーダーを済ました。

 

 

・・・沈黙

 

 

気がつくと彼女は泣いていた。

彼女が口を開く。

僕とセック〇をしてから、いろいろ考えたということだ。

ノリでエッチをしてみて、付き合うようなことをしてみたけど、やはりこういうのは違うと思った。

私にはこういうのは合わない。

神様はきっと私を見ていて、彼氏を裏切ったバチが、自分に当たったのだと。

そして、「あなたが何を考えているかわからない」と。

 

 

・・・沈黙

 

 

 

忙しかったんだよ、会いたいならそう言ってくれればよかったのに。

と僕は振り絞るように言った。

 

 

全然わかってない。

会いたかったら時間は作るものでしょう。

私は、あなたが何を考えていたのかさっぱりわからなかった。

と言われた。

 

 

もう終わりにしようと、一言だけ言い、3,000円置いて店を出て行った。

 

 

ナンパを初めて一年半。

僕はもう戻れないところまで来ていた。

いろいろとネジが外れてしまっていた。

一人の女の子と恋人として付き合うつもりはない。

いろいろな女の子のことをもっと知っていきたいと考えていた。

ナンパ師は、存在するだけで人を傷つけてしまう可能性があるのだ。

そのことをしっかりと認識して女の子を口説かないといけないとその時から思った。

一期一会を大事にしつつ、常に失う覚悟はしておかないといけない。

せめて、一緒にいる時くらいは、幸せな時間を過ごしてもらおう。

でも、長期的な関係を匂わすことはしない。

相手を傷つけてしまうから。

 

 

 

友美と別れた帰り道、京浜東北線に揺られながら、村上春樹の「国境の南、太陽の西」のフレーズを思い出した。

でもそのときの僕にはわかっていなかったのだ。自分がいつか誰かを、とりかえしがつかないくらい深く傷つけるかもしれないということが。人間というのはある場合には、その人間が存在しているというだけで誰かを傷つけてしまうことになるのだ。

村上春樹著:国境の南、太陽の西

 

これは、主人公である高校生の「僕」がイズミというガールフレンドを裏切り、イズミの従姉妹と寝る(しかも初体験)シーンで語られる文章である。

 

 

女の子と出会い、女の子が僕の元を去っていく度にこの言葉を思い出した。

そして、いかに僕は友美が悲しい思いをしていたか、気がつくまでには長い時間がかかった。