一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

【書評】『ひきこもらない』pha

今日は、以前幻冬舎Kindle本セールで買ったきり積読していたpha氏著『ひきこもらない』をご紹介。

やはり、GWは意識高い系より脱社畜系の本を読みたくなります笑。

 

ひきこもらない

 

アマゾンの内容紹介を一部抜粋。

家を出て街に遊ぶ。
お金と仕事と家族がなくても、人生は続く。
東京のすみっこに猫2匹と住まう京大卒、元ニートの生き方

 

本書は京大卒の元ニート、pha氏による生き方指南書。具体的には、街や家や旅や移動について、つまり「どこに住んでどんな風に暮らして、この社会の中をどのように動き回れば楽しく生きられるか」について彼の具体的な経験を基に記されている。ちなみに「元」ニートというのは、日本においてニートとは「15〜34歳までの非労働力人口のうち通学・家事を行っていない者」を指す(厚生労働省の統計上)ため、描き下ろし当時に単純に年齢が38歳で定義から外れているからか。内容を読む限り、彼の生活は未だに立派なニートといえる気がします笑。

ただ一般的に「ひきこもり」のイメージがあるニート生活とは無縁で、街(ときどき旅)に出ていなければ落ち着かないというpha氏。本書はそんな彼の「ふらふらとした生き方」のエッセンスに満ちた内容になっている。とかく若者にありがちな「手帳の予定がギッシリ埋まっていないと気になる・・」「旅の予定はいつも効率よく綿密に立てないと気が済まない・・」けれど、実際はそんな考え方に疑問を持っているような人には大いに共感できる内容になっているかと。肩の力が抜けて楽になれる一冊です。

 

それでは、気になった点や共感できたポイントをご紹介します!

 

普通の生き方に比べてリスキーかもしれないけれど、ふらふらと暮らすことには圧倒的な面白さがある

この一言に彼の哲学が集約されています。

 

飲食店だと、先に会計を済ませるセルフサービス方式か、食券制のところがいい。

牛丼でいえば、吉野家すき家のように最後に精算する方式だと、会計をしなければいけないというタスクを残していることが、食事中ずっと心理的負担として残り続けるらしい。松屋方式だと店員とのコミュニケーション不要ですもんね。ホリエモンも似たようなことを言っていた気が。

 

旅というのは非日常、計画の外を求めてするものなのに、その旅をきちんと計画を立ててするというのは、ちょっと衝動を社会に飼い慣らされすぎじゃないか?

たしかに、そこまでガチガチにスケジュールを管理するなら業務と変わらないですもんね…。「まあそんな感じで旅に出るときはいつも突然で、できるだけ誰にも言わずに一人でいきなり出かける。」と続きます。

 

旅先でも一切特別なことはしない。観光名所なんか一人で行ってもつまらない。景色なんて見ても2分で飽きる。(中略)

要は普段家の近くでやっていることを別の場所でやっているだけなんだけど、僕にとってはそれで十分楽しい。多分、僕が旅に求めているのは珍しい経験や素晴らしい体験ではなく、単なる日常からの距離だけなのだ。

旅行先でネットを見たり本を読んだりすることが多いんだけど、そういうことをしてると「せっかく旅行してるのにもったいない。もっと何か旅でしかできないことをすればいいのに」って言われたりする。でも、それはちょっと違うな、と思う。

僕は旅の中で移動中が一番楽しいというか、目的地に早く着いちゃうともったいないような感じがあって、移動が長いのはあまり苦にならない。

旅や移動方法についての彼の思想には200%同意。「旅に求めているのは単なる日常からの距離」←なんて素晴らしい言葉なんだろう。この話題に関しては、かつて同僚にボロクソに馬鹿にされた経験が僕にもあり、長年晴らせない怒りがあった(後述)。

 

定住は苦手だ。ずっと同じ場所に住んで同じ道を歩いて同じ日々を送るのはなんかときどきうんざりしてくる。(中略)

僕は「一つの場所にずっと住むと飽きるし、人生のうちでもっといろんな場所に住んでみたい」という点で、家を持つ気には全くならない。

同感です。家を買った場所が20年後、30年後にどうなっているかわかりませんしね。子供ができたり、独立したりするたびに必要な住居の大きさも変わります。 

 

普段立ち止まらない場所で立ち止まってみたり 、普段上を見ないところで上を見てみたりするだけで新しい世界が見えてくるので楽しい。

女遊びデビュー前はひたすら近所を散歩していた頃を思い出します。その日の気持ちの持ちようで、見えてくる景色も変わってくるんですよね。

 

 

本書をニートの方のエッセイ(自叙伝)と言ってしまえばそれまでですが、僕にとっては長年自分に感じていたある種のコンプレックスが払拭できたような気がしました。

とおーい昔、僕がかつて新人の頃、夏期休暇でJRの特急料金のかからない電車でひたすら東京から西に向かう(もちろん文庫本をしこたま持参して)という企画をやったことがあります。彼女もいなかったし、行きたい観光地があるわけでもなかったので、思いつきでやったんですな。我ながら奇抜で面白いと思ってやりました(実際面白かったし)。休み明け、上司や同僚が休暇中に何をしていたか聞いてくるわけです(※正直この風潮すらどうかと思いますが。休暇中のことは放っておいてほしいよね)。上記移動ルールおよび初日は豊橋で降りて2日目は思い切って尾道まで行って云々、なんて話をすると、みな揃って「??」という反応をするんですね。続いて、「そこで何を見たの(食べたの)?」と続くわけです。「いや、普通に街を散歩して終わりですよ、お金ないので食事は魚民で済ませました・・」と回答すると、さらに「??」が10個くらい出るみたいです。以後、僕の理由もなく旅行する(移動だけする)という趣味は隠すべき趣味となり、公の場に出ることはなくなりました。しかし、本書を読んで、再度趣味としてアピールしていきたいと思いました(当時より変なやつ認定も進んでいるのですんなり受け入れてもらえるかも?)。そもそも、「予定をギッシリ入れ、可能な限りたくさんの観光スポットを回る」という考え方が正義だと押し付けられてもねえ。

 

他にも、基本的にオフのときは人と話したくないから、基本マスターが話しかけてくるような居酒屋は行かないし、スマホさえあれば長時間移動も苦にならないし、旅先でもスマホばっかりいじっているし、引っ越し大好きだし、散歩も大好き。彼との違いは勤め人として働いているか否かの違いくらい(シェアハウスにはちょっと住みたくないかな・・)で、ここまで価値観の近い人間がいることに感激を覚えたほど。本書全体を通じ「もっと楽に生きようぜ」「お前は正しいんだよ」と語りかけてくれるような優しい本だった。必ずしもpha氏を見習って会社を辞める必要まではないと思うが、彼の日常生活や旅に関するゆるーい思考を取り入れ、肩の力を抜いて楽に生きる方策を模索してみてはいかがでしょうか。

 

 

ひきこもらない

まえがき

I 家を出て街に遊ぶ

II 移動時間が好きだ

III 社会の隅をふらふら歩く

あとがき

 

 

おしまい