今日も、仕事と恋愛に効くコミュニケーションスキルをご紹介。
それは、「聞き手にまわる」という極めてシンプルな方法である。
まず、会社で出世したければ、自分の意見は言わないに限る。特にお偉方は話し上手よりも聞き上手を好む。「言いたいことを言う」ホリエモン的な生き方が持て囃されているが、彼らはサラリーマンではない。余計なことを言わないスキルはサラリーマンに必須である。部下を持つとわかるが、自分の意見を堂々と言ってくる部下は、たとえその意見が正当なものであったときでさえ、生意気で鬱陶しく感じるものである。
一方、部下に言うことを聞かせたい時は、頭ごなしに指示するのではなく、一応相手の意見を全部聞いてやるといい。そして、いったん相手の意見を肯定したうえで、こちらの要求を伝えるとスムーズである。最近の新入社員はーと言うと完全におっさんの発言になるがー相当言っていることが理解できないから、上司になるというのも大変である。
また、この「聞き手にまわる」ことは、特に仕事のトラブル対策に有効である。
営業の仕事をやっていると、たまにとんでもないクレーマーに遭遇することがある。ここでは、僕の体験談をお話しよう。
先日、取引先の発注ミスで納期までに商品が手元に届かない揉め事が発生した。そのことで取引先のお客さまに迷惑がかかってしまったようだ。取引先から送られた発注書の控えがこちらにあるので、客観的に先方のミスであることは間違いなかった。
ただ、どの世界にも道理の通らない人間は一定程度いるものである。当初、僕が先方のミスを指摘すると相手は劣化のごとく怒り始めた。
「しまった」と僕は思った。いったん預かると伝え、相手の怒りが鎮まった数時間後に再度電話した。相手のトーンはある程度治まってはいたが、まだ言いたいことはたくさんあったようだ。20分ほどひたすら相手の話を聞き、一通り先方が言い終えたところで、「お気持ちはよくわかりました。こちらにも落ち度があったと思います。とにかく、どうリカバリするのが最善なのか、一緒に考えましょう」と伝えた。
すると、「◯◯(一匹狼の名字)さん。もういいですよ。貴方はよくこちらの事情を考えてくれた。今回は当社がお客さまに謝罪をして対応するので、これで終わりにしましょう」と言い、さらに今回のミスの発注量の3倍の発注をいただいた。これは作り話ではない。実話である。ちなみに、僕は相手の事情を考えてなどいない。話を聞いただけである。
恋愛について言っても、「聞き上手」はモテるとは昔からよく言われるものである。ただ、短期間(一晩限り)の恋愛について言えば、この限りではない。滑らない話を数種類準備して回せば事足りる。
長期的な関係にある配偶者や恋人とケンカをした時は、ひたすら相手の言いたいことを言わせておけばいい。忍耐力の勝負である。相手に「言い過ぎたな」と思わせたら勝ちなのである。たいてい人間は自分のことにしか関心がないのだから、仕方がない。
人と円滑なコミュニケーションが取りたければこの原則を覚えておこう。
聞き手にまわる。
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おしまい