一匹狼の回顧録

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主張と根拠の骨格を作る

今日も『グロービス流ビジネス基礎力10』から、論理的に考えるためのポイントをご紹介。

抽象的なBig Wordに注意すること、本質的な問いを押さえることに続き、論理的に考えるための3つ目のポイントは、「主張と根拠の骨格を作ること」です。

では、早速まいりましょう。

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前回書いたとおり、「問い=課題」を押さえたら、その次に考えなくてはならないのは、その問いに対する自分なりの 「答え=主張」ですよね。そして、当たり前ですが、大人の世界では、自分が何らかの主張をするためには、なぜそう言えるのかという根拠が必要になります。

これは文字で書くと当たり前のようですが、意外と職場で自分の主張をする時に、根拠が伴わずに結論だけ言ってしまっていることはないでしょうか。

 

本書では、根拠を支えるための基本的な考え方として、「演繹法」と「帰納法」という 2つのアプローチが紹介されています。以下でそれぞれ見てみましょう。

 

演繹法

演繹法とは、あるルールがあり、そのルールに具体事象をあてはめることで主張を導き出すアプローチです。一般的には、三段論法とも言われます。

 

有名な三段論法の例でいうと、

「人間はいつか死ぬ」→「ソクラテスは人間である」→「ソクラテスはいつか死ぬ」

というものがあります。

「人間はいつか死ぬ」というルールがあり、そのルールに「ソクラテスは人間である」という具体的な事象をあてはめると、「ソクラテス(という人間)はいつか死ぬ」という主張を導くことができます。

 

簡単なビジネスの例に置き換えると、

「オリンピックイヤーはスポーツ用品の売上が増大する(ルール)」→「今年はオリンピックイヤーである(具体的事象)」→「今年は(オリンピックイヤーなので)スポーツ用品の売上が増大する(主張)」

こんな例が考えられます。

 

注意点①常にルールを疑う姿勢を忘れない

演繹法を使う際には、ルールが何よりも大事になります。そのルール自体が正しくなくては話になりませんが、実際に起きやすいのは、一般論としては必ずしも間違っていないものの、今検討している事案に適用するのは無理があるという場合です。変化の激しいこの時代、ルールそのものが古くなっていないかなど、ルールを常に疑う姿勢は持っておきましょう。

 

注意点②知識量を増やし、「使える状態」にしておく

さらに、演繹法を使いこなすためには、知識量を増やし、ルールをどれだけ知っているかが重要になってきます。 たとえば、統計分野であれば、大数の法則パレートの法則ハインリッヒの法則など有名な知識があります。これらを単に「知っているか、そうでないか」によって、そもそも主張を導き出す速度が変わってきます。

さらに、ルールを知っているだけでなく、それらを適切なタイミングと形で引っ張ってこなくては意味がないです。したがって、増やした知識を「使える状態」にしておくことも大切です。

 

帰納法

帰納法とは、複数の事象から、ある共通のルールや、無理なく言えそうな主張を導き出すアプローチです。

たとえば、

「自社の商品がA地区で売れている(事象①)」

「自社の商品がB地区でも売れている(事象②)」

「自社の商品がC地区でも売れている(事象③)」

→「この地区でも自社商品が売れるだろう(主張)」

というような例が考えられます。

 

注意点①思い込みを捨てる

帰納法において気をつけたい点は、思い込みを捨てることです。

帰納法は具体的事象を用いるために、元々自分が持っていた思い込みに近いことが起きると、それをもとに主張を組み立ててしまう傾向があります。

したがって、帰納法で主張をする際は、充分なサンプルを取り、感情を排除して冷静に具体的事象を評価するように気をつけましょう。

 

注意点②経験や事例の幅を増やし、具体的に考える

帰納法は、具体的事象からルールや主張を導くため、「想像力」が必要になります。想像するために必要なことは、「経験や事例の幅」と「具体的に考える力」です。

まず、前述のとおり、ルールを考えるためのサンプルが一定以上なくてはいけません。限られた数の事象からでは、そこから抽出できる主張は限られてしまいます。検討しているテーマについて、多くのことを経験し、多くの事例を知っていることが必要になります。

そして、もう一つ大事なことは、そのサンプルから、どれだけ具体的に考えられるかということです。たとえ幅広いサンプルを持っていても、具体的に考える力に欠けていれば、効果的なルールや主張を導き出すことはできません。特に、抽象的なBig Wordを使わずに、可能な限り言葉を具体的にするように意識してみましょう。たとえ、どんなに営業経験が豊富な人間から、「営業活動で最も大切なのは顧客の役に立とうと思う気持ちだ」と言われても、それがどういう場面に適用できるのか見えてきませんよね。

 

ここまで、3回にわたり論理思考力についてご紹介しました。これはどんなビジネスにおいても用いるベースとなる能力なので、僕もまだまだなのですが、地道な努力で鍛えていきましょう。

グロービス流ビジネス基礎力10』でも一つの章を割いて説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

 

おしまい