一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

悩みを解決するための公式を学ぶ

悩みに関する基本事項の2つ目として、悩みを解決するための、手っ取り早くて、しかも確実な効果を得る秘訣をご紹介する。

これは、ウィリス・H・キャリア氏(空調産業で売り出した天才技師で、ニューヨーク州にあるキャリア・コーポレーションの社長)が実践した方法で、彼が鋳物工場に勤めていた若かりし頃に、担当した何百万ドルもの大口の仕事に予期せぬ障害が発生し、自分の失敗に打ちのめされている時に発案した不安解消法である。

 

これは、誰でも実行できるごく単純なもので、三つの段階から成り立っている。

1.状況を大胆率直に分析し、その失敗の結果起こり得る最悪の事態を予測する

2.起こり得る最悪の事態を予測したら、やむをえない場合にはその結果に従う覚悟をする

3.これを転機として、最悪の事態を少しでも好転させるように冷静に自分の時間とエネルギーを集中させる

以上である。

 

このようにして、最悪の事柄を受け入れてしまえば、我々はもはや失うものは何もなくなる。裏を返して言えば、どう転んでも儲けものなのだ。

 

僕もかつては大の小心者だった。彼女とケンカをするたびに、仕事でミスをするたびに、いつまでもクヨクヨと悩んでは食事が喉を通らない日々を過ごした。

しかし、この公式を学んでから、自分の目を最悪の事態へと向けさせ、それに対する覚悟を固めることで、問題解決のために全神経を集中できるようになったのだ。

 

入社間もない頃、仕事で判断ミスをして上司と顧客に大きな迷惑をかけた。いつもであれば、落ち込んで会社を数日休んでしまうレベルである。しかし、今回は『道は開ける』で学んだ公式を試してみようと思った。

この場合、起こりうる最悪の事態はなんだろう。ひどく見積もっても始末書を書くくらいで済んだ。あとは周りから白い目で見られて、仕事がしにくくなるくらいだろう。解雇される恐れはなかった。

そして、自分に言い聞かせた。今度の失敗は自分の会社人生に傷をつけるかもしれないし、状況によっては職場に居づらくなるかもしれない。だが、最悪別の仕事を探せばいい。条件は少し悪くなるかもしれないが、自分はまだ若い。

起こり得る最悪の事態を予測し、その結果に従う覚悟ができると、気分は落ち着き、平安な気分が訪れた。

そこから、冷静さを取り戻し、担当している別の案件に全力を注ぐようになり、かつてのように前の失敗を引きずり、他の仕事の質まで落としてしまうようなことはなくなった。また、悩みの種になっていた大失敗も、結局上司から口頭で厳重注意を受けただけで済んだのだ。

 

悩むことの最大の損失は、我々の集中力を奪ってしまうことである。ひとたび悩みはじめると、それを思い出すたびに気持ちが動揺し、判断力や決断力が失われる。しかし、自分の目を最悪の事態へと向けさせ、それに対する覚悟を固めることで、問題解決のために全力を集中できるようになるのだ。

 

悩みに関する基本事項②
<悩みを解決するための公式>
◉一、「起こり得る最悪の事態とは何か」と自問すること。
◉二、やむをえない場合には、最悪の事態を受け入れる覚悟をすること。
◉三、それから落ち着いて最悪状態を好転させるよう努力すること。
 

 

道は開ける 新装版

道は開ける 新装版

 

  

 

 おしまい