一匹狼の回顧録

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【書評】『君がオヤジになる前に』堀江貴文

今日はかなり前にアマゾンのKindleストアのセールで購入したホリエモン本を読了したのでご紹介。

 

君がオヤジになる前に

君がオヤジになる前に

 

概要

本書が発売されたのは2010年。堀江貴文ことホリエモンが当時38歳の頃に書かれた本である。本書で定義する「オヤジ」とは、年齢的なものではなく、あらゆること(家族との向き合い方や仕事への接し方、服装や体型)を、より良い方向へ改善しようとすることを放棄してしまった者たちへの表現として使われている。彼が本書を出版するきっかけになったのは、近年、本来ならば「オヤジ世代」ではない層にまで、その潮流が広がっているという空気を感じたことだという。本書は25歳から35歳までの、各年代別に向けたホリエモンからの提言で構成されている。

 

<目次>
まえがき
25歳の君へ(起業という選択;本当の働き盛り ほか)
28歳の君へ(結婚と保険と;「待つ」という言い訳 ほか)
32歳の君へ(クリエイティビティとは;人脈とスキル ほか)
35歳の君へ(利益を生む経営;友人と包容力)
38歳の僕へ(充実した人生の定義)
対談 「これから」を生きる君へ(福本伸行×堀江貴文
あとがきに代えて

 

本書の内容

本書では、25歳、28歳、32歳、35歳の計11人の登場人物に対し、ホリエモンが語りかける形になっている。彼らはホリエモンのブログやメルマガ、ツイッターの読者が抱えている悩みや不安をサンプリングし、一つのキャラクターとして再構成したものである。たとえば、28歳の登場人物のうちの一人の設定は以下のとおりだ。

商社勤務/28歳/繊維部門の国内営業/転職経験なし年収500万円/貯蓄50万円/民間保険加入を検討住居・都心2LDKマンション/賃貸料月額15万円都内私立大学卒業/結婚2年/2歳上の妻と2人暮らし子供はほしい/妻は結婚前からの一般職の仕事を続けている

家族を守るために民間保険への加入を検討している一方、離婚を考えたりもしていて、周囲を見回したら一人は見かける典型的な28歳だ。こういった登場人物に対し、ホリエモンが痛快に提言を述べていく。

後半は「38歳の僕へ」ということで、ホリエモンライブドア事件やその後の人間関係などについて触れていて、2010年当時の彼の思いを知ることができなかなか興味深い。

最後に、漫画家の福本伸行氏との対談で締めくくられる。このお二人、最近はよくトークイベントなどでも対談をされているが、これが二人の初対談だったようだ。福本氏がブレイクしたのは30代半ばで、漫画家の中では遅咲きの部類に入る。そんな彼が成功に至るまでのエピソードを知ることができて面白い。

 

ポイント

以下では、本書で気になったフレーズなどを引用してご紹介。

 

子どもは、親の幸福を生産するものではない。子どもに尽くす家庭的な人生が幸せだなんて、ただの思い込みだろう。幸福の主体は、自分自身に拠らせるべきだ。(「28歳の君へ」より)

28歳くらいの時、僕の周りにも結婚ラッシュがきた。そして、まもなく出産ラッシュもやってきた。この頃、彼らが妻から洗脳されていたのが、「子どものために人生を捧げるのは父親の義務」という価値観だ。家族を大切にすること自体はいいことだが、辛いと思う状況に耐え続けることは危険だ。幸福の主体は自分自身に拠るべきということを覚えておきたい。

  

古い友人は人生を停滞させる、ある種の障害物だろう。(「35歳の君へ」より)

大学生の頃、一度だけ中学の同窓会に参加してしまったことがある。その時、多くが未だに中学時代の思い出話ばかりしていて愕然とした覚えがある。もう、ここは自分のくる場所じゃないな、と思い、それ以来一度も地元の同級生とは会っていない。同じ仲間とばかり群れていたら、世界はいっこうに広がらない。より高いレベルに行けば、そこでまた魅力的な人間に出会えるということを覚えておこう。

 

今の若い人は、自分は幸せなんだと思った方がいい。不幸だと思ったらダメ。例えば25歳で会社をクビになっても、身体が元気で日本に住んでいられたら、何だって生きていけるんだ。(「対談「これから」を生きる君へ」より、福本氏の言葉)

自分も父から幼い頃に似たようなことをよく言われたものだ。「日本に五体満足で生まれおちた時点で人生半分勝ったも同然」と。若いうちであれば、健康でありさえすれば、どんなことにも悩む必要はないと思う。

  

感想

ホリエモンはここ数年多くの著書を出版しているが、本書は収監前の彼が出版した本で、現在と考え方が少し違ったりする部分がある(行政書士司法書士の法律専門資格の取得を勧めていたり)。その違いがなかなか面白い。一方、睡眠以外の時間は常に動くとか、保険はいらないとか、自分が面白いと思うことをただ突き進むとか、小利口はダメだとか、根底にある考え方は変わっていない。本書を一番読むべきは25歳までの若者だ。間違いなく今後の人生の参考になるはずである。一方、僕のようなアラフォー男子が昔を思い返しながら読むのにも面白い本に仕上がっている。

 

<本書はこんな人にオススメ>
・家庭や職場で悩みがある20代の男子
・ひと昔前のホリエモンの思考を知りたい方
・その他、思考停止してしまっているという自覚がある方

 など

 

君がオヤジになる前に

君がオヤジになる前に

 

 

おしまい