今日も引き続き、D・カーネギー『道は開ける』より「悩みの習慣を早期に断つ方法」をご紹介していく。
本章のタイトルは「避けられない運命には調子を合わせる」というもので、簡単にいえば、自分の力ではどうしようもない出来事は諦めて受け入れようという趣旨の内容だ。
この章でも、冒頭でD・カーネギーが幼少の頃のエピソードが紹介されている。
彼が幼い頃、古い廃屋の屋根裏で何人かの友達と遊んでいた。屋根裏から降りる時、窓のところに足をかけて飛び降りた。その時彼は左の人差し指に指輪をはめていたが、飛び降りる拍子にその指輪が釘に引っかかり、指が一本ちぎれてしまったという(考えただけで痛々しい)。
彼は悲鳴を上げた。死ぬかもしれないとも思った。だが、手の傷がふさがったあとでは、瞬時にせよ、そのことで悩んだことはなかったという。彼の左手には四本の指しかなかったが、そのことに気がつくのは、月に一回あるかないかであったということだ。
われわれは長い人生を歩む間に、こうしたどうにもならない理不尽な出来事に遭遇することがある。
たとえば、
青信号を渡っていたのにもかかわらず、車に轢かれて身体障害を負ったり。
何十万人に一人という難病に冒され、一生付き合っていくことになったり。
東日本大震災の津波で最愛の家族を亡くしたり(本当に悲しい出来事です)。
そんなイベントにいつ巻き込まれるともわからない。
しかし、その出来事に対する反応を、われわれは自由に選択できる。
そういう立場を天命として受け入れ、それに自分を順応させることもできるし、一生を台なしにしてまでも反抗し、神経衰弱になることもできる。
周囲の条件だけで人間の幸福や不幸が決まるわけではない。私たちの感情を左右するのは、周囲の条件に対する反応の仕方である。
これはまさに『7つの習慣』において「関心の輪・影響の輪」と表現されている話である。
(出典:https://foryoursmile.jp/hiro1funo/1597/)
誰でも様々な関心事(懸念することから興味あることまで)を持っている。たとえば、自身の健康や家族のこと、職場の問題、国家財政、核戦争に至るまで。
そこで、上の図のような「関心の輪」を描いて、関心を持っていることと、特に関心のないこととをまず分けてみる。
関心の輪の中に入れたことを見ると、その中には自分がコントロールできるものとできないものとがあることがわかる。自分でコントロールでき、影響を与えられるものは、図のようにさらに小さな円でくくる。この円が「影響の輪」である。
私たちが直面する問題は、次の3つのどれかに分類できる。
・直接的にコントロールできる問題(自分の行動に関わる問題)
・間接的にコントロールできる問題(他者の行動に関わる問題)
・コントロールできない問題(過去の出来事や動かせない現実)
直接的にコントロールできる問題と間接的にコントロールできる問題は、「影響の輪」の中にある問題として、自ら手を下せる解決策を考えればいい。
一方、自分がコントロールできない問題を解決するには、自分の態度を変えるしかない。笑顔を作り、穏やかな気持ちでそれらを受け入れて生きる術を身につけるのだ。こうすれば、そのような問題に振り回されることはなくなる。
最後に、ラインホルト・ニーバー博士によって書かれた有名な祈りを紹介して締めよう。
神よ、我に与えたまえ、
変えられないことを受け入れる心の平静と、
変えられることを変えていく勇気と、
それらを区別する叡知とを。
悩みの習慣を断つための4つ目の鉄則を示そう。
◉避けられない運命には調子を合わせよう。
おしまい