一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

悩みに歯止めをかける

今日もD・カーネギー『道は開ける』より「悩みの習慣を早期に断つ方法」をご紹介していく。

 

本章のタイトルは「悩みに歯止めをかける」というもので、ストップ・ロス・オーダーという株式相場の用語を悩みにも適用し、悩みの重要度に応じて損切りするというものだ。

 

ストップ・ロス・オーダーとは、たとえば、50ドルで株を買う時に、45ドルのストップ・ロス・オーダーを設定しておく。すると、株価が45ドルを切ったら自動的に売却されるため、損切りができるのである。

カーネギーは、この考え方を悩み事にも応用するよう勧めており、実際に彼がストップ・ロス理論を適用した事例が2つ紹介されている。

 

1つ目の例は、時間にルーズな友人の例である。

以前の彼はイライラしながら、その友人が姿を現わすまでの30分を過ごしていた。

そこで、彼は、その友人に対してストップ・ロス時間を10分に設定し、こう告げた。

『ビル、君を待つ時のストップ・ロス時間はきっかり10分だ。君が10分以上遅れたら、昼食の約束はご破算だ──俺は帰るからな』

こうして、心の平和を乱そうとする状況を正しく評価し、「この状況はこの程度のイライラで十分だ」と彼は自分自身に言い聞かせたのだ。

 

2つ目の例は、カーネギーが若かりし頃に、小説家を目指していた頃のエピソードである。

彼は2年という歳月を費やし、大作を書き上げた。

出版社に応募してみたものの、代理人から、作品には何の取り柄もなく、小説家としての素質も才能もないと告げられ、大変なショックを受けた。

しかし、彼はその小説を書くために全力投球した2年間を貴重な体験として清算してしまい、そこから新しく出直すことにした。

成人教育クラスの開設と教育という仕事に戻り、その余暇に伝記やノンフィクション作品を書いた。われわれが今読んでいる『道は開ける』もその一冊というわけである。

 

かのリンカーンも、彼の友人たちが口々に彼の仇敵を非難した時、こう言った。

「君たちは私以上に個人的な恨みにこだわっているようだが、私はほとんど何とも思っていない。といって、けりがついたと思っているわけではないが。しかし人間は一生の半分を口論で費やすひまはないからね。誰かが私に対する攻撃をやめれば、私は彼の過去をいっさい水に流すよ」

 

われわれも、大学受験に失敗したとか、大好きな恋人と別れてしまったとか、昇進が同期より一年遅れてしまったとか、そういった人生の出来事にいつまでもクヨクヨとしてはいないだろうか。悩みに対して、われわれの人生を余分に支払うのは愚の骨頂にほかならない。

 

それでは、悩みの習慣を断つための5つ目の鉄則を示そう。

  

悩みの習慣を早期に断つ方法⑤
◉一、現在、自分が悩んでいることは実際にどの程度の重要性があるか?
◉二、この悩みに対する「ストップ・ロス・オーダー」をどの時点で出して、それを忘れるべきだろうか?
◉三、この呼子笛に対して正確にはいくら支払えばよいのか? すでに実質価値以上に払いすぎていないだろうか?
 
道は開ける 新装版

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 おしまい