一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

気の持ちようで人生は変えられる

今回もD・カーネギー『道は開ける』から。

本日から、PART4「平和と幸福をもたらす精神状態を養う方法」に入る。

 

同節の1つ目のタイトルは「生活を転換させる指針」というもの。

これは原書を直訳しているせいかちょっとわかりにくいのだが、「人生を好転させるルール」とでも考えておけばいい。

本章はけっこうボリュームがあって、カーネギーの解説にも熱が入っている。

前半は根本的な思考方法、後半は具体的な行動方法について述べられている。

 

前半では、どのような心構えで日々過ごせばいいかが書かれている。

肝に銘じておきたいのは、われわれが日常生活で得られる心の安らぎや喜びは、自分の居場所や持ち物や、身分によって左右されるのではなく、気持ちの持ちよう一つで決まるという点だ。外部の条件はほとんど関係がない。

よく言われることではあるが、楽しいことを考えていたら、楽しくなる。逆に、みじめなことを考えはじめたら、みじめになる一方なのである。

 

本書は具体例を挙げてから、一般論を導き出すという帰納法的スタイルを取っているため、本章でも様々なエピソードが紹介されているが、特に以下の話が興味深い。

 

ナポレオンは多くの人間が熱望するもの──栄光、権力、巨万の富──をことごとく手に入れたけれども、セント・ヘレナでは「私の生涯で幸福な日々は六日もなかった」と言ったのである。一方、盲目で聾啞のヘレン・ケラーは「人生とは本当に美しいものだと思います」と断言している。

 

16世紀のフランスの哲学者モンテーニュはこう言っている。

「人間は起こることよりも、起こることをどう評価するかによってひどく傷つくのだ」

起こることをどう評価するかは、私たちの心一つにかかっている。

これは、同じく自己啓発書のベストセラー『7つの習慣』の第1の習慣「主体的である」の中でも、「刺激と反応の間には選択の自由がある」という表現で示されており、効果的な人生を営むための基本的かつ重要なパラダイムとされている。

 

後半では、実際に気の持ちようを変えるための実践法について書かれている。

ここでは、19世紀の米国の心理学者ウィリアム・ジェームズの言葉を引用したい。

「決心」することで即座に感情を変えることはできないが、行動を変えることは可能だ。・・・だから、快活さを失った時、他人に頼らず自発的に快活さを取り戻す秘訣は、いかにも楽しそうな様子で動きまわったり、しゃべったりしながら、すでに快活さを取り戻したようにふるまうことである。

 

単純だが、効果的な秘訣である。

感情ではなく、行動の方を先に変えてしまうのである。

われわれは満面の笑みをたたえながら、同時に沈み込んでいることは肉体的に不可能ということだ。

 

実は、このことは新入社員の頃に似たようなことを先輩から教えられて実践していた。

毎朝、家を出る前に「仕事が楽しい」と何度も鏡の前で言う。すると、前向きな気持ちで仕事に取りかかれると。

事実、一定程度の効果はあった。

 

最後に、シビル・F・パートリッジ氏が書いた「今日だけは」というプログラムを紹介する。これを実践すれば私たちの悩みはほとんど消え去ることだろう。

  

一、今日だけは、幸福でいよう。リンカーンは「たいていの人々は、自分で決心した程度だけ幸福になれる」と言ったが、まったく至言である。幸福は内部から生じる。外部の事柄ではない。

二、今日だけは、自分自身をその場の状況に順応させて、自分の欲望のためにすべてを順応させることを控えよう。自分の家族も仕事も運も、あるがままに受け入れて、自分をそれに合わせよう。

三、今日だけは、体に気をつけよう。運動をし、体を大切にし、栄養をとろう。肉体を酷使したり、軽視することは慎もう。そうすれば、体は意のままに動く完全な機械になるだろう。

四、今日だけは、自分の精神を鍛えよう。何か有益なことを学び取ろう。精神的な無精者にはなるまい。努力と思考と集中力を必要とするものを読もう。

五、今日だけは、魂の訓練のために三つのことをしよう。誰かに親切を施し、気づかれないようにしよう。ウィリアム・ジェイムズが教えているように、修養のために少なくとも二つは自分のしたくないことをしよう。

六、今日だけは、愛想よくしよう。できる限り晴れやかな顔をし、穏やかな口調で話し、礼儀正しくふるまい、惜しげなく人をほめよう。他人の批判やあら探しを慎み、他人を規則でしばったり、戒めたりすることをやめよう。

七、今日だけは、今日一日だけを生き抜くことにして、人生のあらゆる問題に同時に取り組むことをやめよう。一生の間、続けるとしたら、嫌気のさすような問題でも、十二時間ならば我慢できる。

八、今日だけは、一日の計画を立てよう。処理すべき仕事を一時間ごとに書き出そう。予定どおりにはいかないかもしれないが、ともかくやってみよう。そうすれば、二つの悪癖──拙速と優柔不断と縁が切れるかもしれない。

九、今日だけは、たった一人で静かにくつろぐ時間を三十分だけ生み出そう。この時間を使い、時には神について考えよう。人生に対する正しい認識が得られるかもしれない。

十、今日だけは、恐れないようにしよう。特に幸福になることを恐れたり、美しいものを楽しむことを恐れたり、愛することを恐れたり、私の愛する人が私を愛していると信じることを恐れないようにしよう。 

 

禁断の全文引用(笑)。

肉体・精神の手入れ、内省の時間を取ること、計画を立てることなど、これらは『7つの習慣』の第7の習慣「刃を研ぐ」で自己の最新再生として述べられていることと共通している。

『道は開ける』と『7つの習慣』、あらゆる自己啓発書の原点とも言われている2つの書籍には、豊かな人生を送るための事柄として共通して挙げられていることも多い。

自己啓発書は玉石混交であるが、海を渡って日本にやってきた素晴らしい自己啓発書はやはり、必読と言えるだろう。

 

それでは、平和と幸福をもたらす精神的態度を身につけるための第一の鉄則を覚えておこう。

  

平和と幸福をもたらす精神状態を養う方法①
◉快活に考え行動すれば自然に愉快になる。
 
道は開ける 新装版

道は開ける 新装版

 

  

 

 おしまい