一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

嫌いな人のことを考えない

今回もD・カーネギー『道は開ける』から、「平和と幸福をもたらす精神状態を養う方法」をご紹介していく。

同節の2つ目のタイトルは「仕返しは高くつく」というもの。

「仕返し」とあるとおり、この章では、対人関係で嫌なことがあった時の対処法について書かれている。

 

プライベート・仕事の場面を問わず、人と接していると、相手の言ったことや相手にされたことによって、怒りや悲しみの感情に襲われることがあるだろう。 

僕は若い頃、あまりにこうした感情に支配されることが多かったように思う。

特に、社会人一年目の僕の感情の不安定さと言ったらひどいものだった。

本ブログの初期の記事にも詳しく書いているが、彼女に突然振られたうえ、会社では毎日上司や先輩から人格否定を受け続ける日々に相当参っていた。

今となっては、そんなことで傷つくことなど考えられないのだが、当時は本当に自殺したいと毎日思って過ごしていたものだ。

 

しかし、ある日、僕はこうした自分の感情を揺さぶるあらゆる出来事についての対処法を思いついた。

それは極めてシンプルで「他人に何をされても気にしない」というものだ。

他人に何と言われようとも、それを自分がどのように解釈するかはこちらの自由ということに気がついたのだ。この法則が頭に浮かんだ時、自己啓発本を読まずして、自分を啓発できた瞬間だったように思う(笑)。

 

嫌な目にあったときに、相手に仕返しするのは簡単だ。だが、仕返しすることは相手にダメージを与えるどころか、自分の健康を害する結果となる。カーネギーはこのように言っている。

私たちが敵に憎しみを感じると、むしろ自分自身が敵に支配されることになる。そしてその支配力は私たちの睡眠・食欲・血圧・健康・幸福にまで及んでくる。敵は私たちを悩ませ、苦しめ、仕返しさえしていることを知ったら、小躍りして喜ぶであろう!私たちの憎悪は少しも敵を傷つけないばかりか、かえって私たち自身が、日夜、地獄の苦しみを味わうことになる。

私たちは聖者と違って自分の敵を愛するのは無理かもしれない。けれども、自分自身の健康と幸福のために少なくとも敵を許し、忘れてしまおう。

 

たしかに嫌なことがあったことをいつまでも気にしていると、眠れなくなるし食欲もなくなる。いいことは何もない。嫌なことはさっさと忘れてしまうに限るのだ。

 

カーネギーが米国第34代大統領アイゼンハワーの息子のジョンに向かって、「あなたのお父さんは今までに恨みを抱いたことがあるだろうか」と質問したことがある。「いいえ」彼は答えた。

「父は一分間といえども、自分の好まない人間のことを考えながら無駄な時間を過ごしたことはありません」

 

また、米国の6人の大統領(ウィルソン・ハーディング・クーリッジ・フーヴァー・ルーズヴェルトトルーマン)から絶大な信頼を寄せられていた大統領顧問であるバーナード・バルーク氏は、政敵の攻撃に手を焼いたことはなかったかという質問に対してこのように答えている。

「誰一人として私を侮辱したり、手を焼かすことなどできないよ。そんなことは私がさせないからね」

 

この、嫌なことを気にかけないという思考や姿勢は、他の自己啓発書でも、似たようなことが言われている。 

『7つの習慣』では、「刺激と反応の間には選択の自由がある」という言葉で示されているし、『嫌われる勇気』に代表するアドラー心理学では「課題の分離」という重要概念として紹介されている。

こうした人間の本質を支えるような原則は、様々な自己啓発書やビジネス書に書かれている。名著と言われる本に共通して書かれていることは、ぜひ押さえておこう。

 

また、カーネギーはこうも言っている。

さらに、自分の敵を許し、忘れてしまう確実な方法は、自分自身よりも限りなく大きな主義主張に夢中になることだ。そうすれば、私たちが出くわす侮辱や敵意など問題ではなくなる。

大きな主義主張とあるが、これは他人を助けたり、家族を大切にするといった利他的なものでもいいし、独立して社長になるなど自己の野心的なものでもいいだろう。また、個人的には、女遊びなど他に夢中になっているものならなんでもいいと思う。とにかく、自分にとって、目の前のくだらない人・出来事など意に介さなくなるようなことを探すべきなのだ。

 

平和と幸福をもたらす精神的態度を身につけるための第二の鉄則を覚えておこう。

  

平和と幸福をもたらす精神状態を養う方法②
◉仕返しをしてはならない。敵を傷つけるよりも自分を傷つける結果となるからだ。私たちはアイゼンハワーの態度を見習おう。つまり、嫌いな人について考えたりして、一分間たりとも時間を無駄にしないことだ。
 
道は開ける 新装版

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 おしまい