一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

書評『調べる技術 書く技術』佐藤優

今日も最近ハマっている佐藤優氏の著書をご紹介。とりあえずこれでラスト。

 

調べる技術 書く技術

★★★☆☆

調べる技術 書く技術 誰でも本物の教養が身につく知的アウトプットの極意 (SB新書)

 

本書は、多い月では月500冊以上の本を読み、1200ページ(約50万字)もの原稿を書いている佐藤優氏のインプット・アウトプットの一連の知的生産術をまとめたもの。大きく分けて、インプット・アウトプット・そのベースとなる生活(インフラ)の3つについて書かれている。

 

インプットに関しては、読書・新聞・ネット・SNSの4つについて、それぞれ見解が示されている。基本的には読書と新聞がメインで、基礎的な知識・教養は本から、生の情報は新聞から得るというスタンスだ。他の著書でも書かれているとおり、基礎的な知識や教養は高校の教科書・参考書から習得することを勧めている。

次に何をインプットするかだが、これには大きく2つある。
1つは、新聞を読むことだ。新聞と同等といえるNHK NEWS WEBなどでもいい。とにかく日々、移り変わる生のニュースに触れるということである。
~略~ もう1つのインプットの出番である。新聞などの情報を読みこなすために必要となる、基礎的な知識・教養を身につけるためのインプットだ。
基本は高校の日本史A、世界史A、政治経済、数学Ⅰ・Aの教科書である。

 

また、「仕事に関するインプットだけ行う」というのが彼の持論であり、仕事に関係しない本を読むことや、仕事に直結しないスキルを身につけようとすることは、無益なインプットだという。思い切り英会話について言及があり少しショックであった。

最低限の英会話力は身につけておくに越したことはないが、もし仕事上でいっさい英語を使わないのであれば、英会話習得の優先順位は、かなり低くなる。
〜略〜 語学を例に挙げたが、読者には、どんなインプットにおいても、「仕事に直結するか」どうかという視点をつねにもつことをすすめる。
限りなく広がる好奇心は人間の原動力の1つだが、「仕事に関わるインプットしかしない」という割り切りも、インプットした情報を活かす力を効率的に高めていくためには必要なのである。

 

新聞に関しては、最低2紙読むことを推奨しているが、時間的に難しい場合は『新聞ダイジェスト』の購読を勧めている。皆さんは『新聞ダイジェスト』なる雑誌を知っていましたか? 私は知りませんでした。本誌は1ヶ月間に新聞で報じられたニュースの要点をまとめた冊子で、主要テーマ別にまとめられているため、手っ取り早く1ヶ月の世間の動向がわかるようになっている。もちろん、情報の即時性には欠けるものの、事後的に、各トピックをどの新聞がどういう報じ方をしていたのかを比較検証でき、各紙の「社説読み比べ」コーナーも設けられているため、何紙も購読しなくても、各紙の論調の違いを大まかに把握できる優れものらしい。

新聞ダイジェスト | 時代はいま、どう動いているのか!

 

アウトプットについては、すべての情報を1冊のノートにまとめるというのが、著者のアウトプット術の肝。

私がすすめる情報整理法は、「手書き」が基本である。
使うノートは「1冊」だけだ。スケジュールをはじめ、今日やるべき仕事のリスト、日誌、執筆のためのアイデア、さらには読んだ本の抜粋や、ロシア語の練習問題まで、あらゆることを記している。
~略~ すべての情報を1冊に集約させておけば、過去に記した情報を参照したいときも、その1冊をパラパラと繰るだけで済む。

 

この本のマイナスのポイントをいくつか挙げると、まずインプット部分については、インプットに特化した『僕らが毎日やっている最強の読み方』の方が詳しく載っているため、そちらに軍配が上がる。この本はめちゃくちゃオススメです。

僕らが毎日やっている最強の読み方―新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意

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また、アウトプットの記載は薄い。個人的には「すべての情報を1冊のノートにまとめる」というアイデアが自分のルーティンを変えたので、大当たりだったが、文章の書き方などの記載は皆無。

また、後半やや専門外の資産運用などにも言及されているが、これは非常に微妙。国債のゴリ押し、投信は否定など、今の時代に合っているとは言い難い記載が目立った。つみたてNISAやiDeCoについても触れられていなかったし。

ということで、総合的に星3つとした。

 

おしまい