私の高校時代の社会科の教師がこう言っていた。
金を稼ぎ始めたら年収の10%を本に使え。バカな大人になりたくなかったら。
年収300万で年間30万円。1冊1000円の本が300冊買える。本は嫌いではなかったが、そんなに本に使うわけないだろ、と聞き流していた。
2000年代初頭の当時、自己研鑽の主な方法は本くらいしかなかったので本と言ったのだろうと思うが、今はテクノロジーが発達し様々な学びの媒体がある。(当時はガラケーが普及し始めた時代で、クラスの3分の1くらいはケータイを持っていなかった。そんな時代もあったのである)。
よって「本」を「自己投資」に読み替えてみよう。自己投資に年収の10%が必要というのが、その教師の教えである。
20年以上前の当時より、さらに現代社会は急速に変化しており、技術や知識の陳腐化が一瞬で進む時代となった。
今現在持っている知識・スキルだけに依存していると、数年後にはあっという間にその価値が薄れてしまう可能性がある。たとえば今から3年前に、生成AIがここまでブームになるとは、誰が予想できただろうか?
だからこそ、常に危機感を持ち、自己研鑽によってそれらをアップデートし続けないといけない。
たしかに、テレビのニュースやネット記事など、無料で手に入るものもいくらでもある。
しかし、テレビは各局の偏った報道や広告主への忖度が目に余るし、ネット上は陰謀論やトンデモ記事に溢れている。
やはり、一定の対価を支払い、信用に値する媒体から情報を得る必要があると考える(もちろん有料なコンテンツの中でも、怪しげな高額の自己啓発セミナーのようなものもあるので注意だが)。
中年になり年収1000万円を超える今でも、月収の10%以上を本+サブスク代に使っている。
会社の周りのメンバーも、私が知っている限り全員が同じように自己投資に勤しんでいる。
一方、文化庁の「国語に関する世論調査」によると、2024年1月から3月にかけて調査された16歳以上の人のうち、1か月に1冊も本を読まない人の割合は62.6%。
新聞通信調査会の調査によると、30代は約30%しか新聞を購読していないということだ。
日本人の年収の平均が約450万、中央値が約350万と言われているが、そりゃ毎日これだけ積み重ねが変わってくるなら、見えている世界も違うものになるよな、と思ってしまうのだ(決して嫌味のつもりではない)。
年収の10%を自己投資するという考えは、短期的には大きな費用に見えるかもしれないが、長い人生でキャリア・収入の面で考えると決して悪くないトレードだと思うのである。
生活状態によっては、なかなか捻出するのは難しいかもしれないしあくまで10%は目安ではあるが、年収の一定程度を自己投資に回せば、10年後の人生が間違いなく変わってくるであろう。
おしまい