一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

【成功へのメモ】『脳を活かす勉強法』

成功本まとめシリーズ。

脳を活かす勉強法 奇跡の「強化学習」

 

脳を活かす勉強法

 

著者

茂木 健一郎
1962(昭和37)年、東京生まれ。脳科学者/理学博士。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学理学部・法学部卒業後、同大大学院物理学専攻課程を修了。理化学研究所、英ケンブリッジ大学を経て現職。クオリア(意識のなかで立ち上がる、数量化できない微妙な質感)をキーワードとして、脳と心の関係を探求し続けている。主な著書に『脳と仮想』(小林秀雄賞受賞)、『今、ここからすべての場所へ』(桑原武夫賞受賞)、『ひらめき脳』、『「脳」整理法』、『生きがい』などがある。

要約

脳科学者なのだから、幼い頃からさぞ秀才ぶりを発揮していたのだろう、そのように思われがちな著者。しかし、実際のところは、小学校から大学に至るまで、入学当初は秀才とはほど遠い存在だったという。

最初は取り立てて秀才とはいえなかった著者が、なぜそれぞれの学校で学年1位になることができたのか。その過程において、いったい何が起こったのかというと、それは「勉強の仕方が分かった」からに尽きる。そして、その勉強法は周りの人たちのそれとは、まったく違うものだった。

著者は、ほとんど親から「勉強しなさい」と言われたことがなく、自分から進んで勉強していた。それは、勉強が面白くてたまらなかったから。勉強を続けるほど楽しくなり、やがて「勉強するとうれしい」「うれしいから勉強する」というサイクルを延々と繰り返すようになったということらしい。

 

著者が脳のことを学ぶようになると、自身の勉強法のよいところが改めて分かったという。そのカギを握っているのはドーパミンという物質である。

この本のタイトルになっている「脳を活かす勉強法」とは、脳の特性を知り、自分の脳と上手につきあうことで学習そのものを楽しめるようになる〝学びの習慣〟のことである。言い換えれば、この勉強法の本質は「いかにして自分の脳を喜ばせるか」だと言える。脳を喜ばせるには、次の3つの仕組みが必要である。

 

①「ドーパミン」による「強化学習」によって、脳を強化する。
②「タイムプレッシャー」によって、脳の持続力を鍛える。
③「集中力」を徹底的に身につける。

本書では、この脳が喜ぶ3つの仕組みを踏まえ、「脳を活かす勉強法」とは何かが解き明かされていく。

 

ポイント

・「ドーパミン」による「強化学習」によって、脳を強化する。

一生懸命考えていた問題がやっと解けた。その時の「やった! できた!」という感覚は、脳の中で「ドーパミン」が分泌されている。ドーパミンは「快感」を生み出す脳内物質として知られている。

したがって、人間の脳はドーパミンが分泌された時、どんな行動をとったか克明に記憶し、ことあるごとにその快感を再現しようとする。そして、もっと効率的にドーパミンを分泌させるため(つまり快感を得るため)に、脳内では神経細胞ニューロン)がつなぎかわり、新しいシナプス(神経回路網)が生まれる。そのため、快感を生み出す行動が次第にくせになり、2回、3回と繰り返し続けていくたびに、その行動が上達していく。これが「学習」のメカニズムである。

特に、試行錯誤を経ることで脳内に強固なシナプスが形成され、やがてひとつの行動に練達していく。これを「強化学習」という。「脳を活かす勉強法」一つ目の極意は、この「強化学習」のサイクルを回すことにある。

 

・「タイムプレッシャー」によって、脳の持続力を鍛える。 

困難を乗り越えているうちに、気がついたら新しいスキルを身につけていた。このような「成功体験」を積み重ねていると、強い負荷にも耐えようという意欲が生まれる。しかし、自分の脳に負荷をかけるのは簡単なことではない。

では、負荷をかけるにはどのようなことをしたらいいか。ここでおすすめなのが「脳を活かす勉強法」二つめの極意、「タイムプレッシャー」である。自分の作業に、制限時間を設けるのだ。

 

・「集中力」を徹底的に身につける。

「脳を活かす勉強法」三つめの極意は、「集中力」である。

著者は、集中力は次の3つの要素から生まれると考えている。

①速さ――作業のスピードを極限まで速くすること
②分量――とにかく圧倒的な作業量をこなすこと
③没入感―周囲の雑音が入らないほど夢中になること

この3つの要素を理解することで、誰もが集中力を磨くことができるという。

「速さ」は、前述の「タイムプレッシャー」を常に意識することがポイントとなる。制限時間を設けて、自分がこれ以上速くできないという限界を超えようと努力する。そして、アスリートのトレーニングのように限界を少しずつ上げていく。これを徹底的に繰り返す。

次に「分量」は、学習の作業量を多くする、という意味。集中力を持続させるには、「ずっと何か作業をしている」状態をつくることが必要。ボーッと考えているのではなく、とにかく忙しくやる。スピードを上げながら、制限時間の中でできる分量を増やしていく。大切なのは、一息つく間も与えず、作業をこなしていくこと。

最後が「没入感」である。勉強にのめりこみ、勉強と自分が一体になる感覚を作り出す。

 

本書の初版は2007年で、Wikipediaによると2008年のオリコン調べのビジネス書部門での推定売上が1位であると言われる大ベストセラー。一方、私は当時の勉強本ブームで多くの本を読んでいた中、固そうな本だということで結局読まずに積読していた。

改めて読んでみると、極めて正統派な内容で、著者本人が脳科学者というだけあり、根性論だけではない科学的な内容となっており、勉強ができるようになりたい全ての人にオススメの一冊だ。

 

ビジネス書は、全文を一度読むより、たった一つのポイントでも毎日読み返して自分の血肉にすることが大事。響いた点があればあなたの読書メモにも蓄積を。

 

おしまい