成功本まとめシリーズ。
著者
八木宏之
株式会社セントラル総合研究所代表取締役。1959年生まれ、東京都生まれ。関東学園大学経済学部卒業。1996年、企業再生コンサルタント会社「(株)セントラル総合研究所」を設立、同社代表。経営者と「共に歩む」ことを主義としている。前職の銀行系リース会社では、回収業務で辣腕を振るったが、借金に苦しむ人々と接するなかで、回収業務に疑問を抱き退社。その後、コンサルタント会社数社を経て現在に至る。自ら習得した回収業務のノウハウを逆手にとって金融機関と交渉し、合法的借金帳消し・企業再生を図る独自のシステムを構築。中小企業を再生させ借金に苦しむ経営者を救済するスペシャリストであり、サラリーマンの給与差押えによる悲劇解消にも奔走している。連帯保証人制度見直し協議会の発起人でもある。
加治将一
作家。不動産投資家。1948年、北海道生まれ。78年に渡米、不動産開発投資会社を成功させた後、消費者金融を立ち上げるなど次々に事業を展開。そのなかで銀行や債権者とタフに交渉する術も身につけた。95年に帰国後はビジネスのかたわらで作家としても活躍。不動産ファイナンスをめぐる日本人マフィアと邦銀、経済ヤクザの攻防を描いた『チャイナブルー』など、アメリカ時代の経験を生かした独自のクライムノベルを発表している。
要約
本書のタイトル『借りたカネは返すな!』は挑発的だが、その真意は「無責任に借金を踏み倒せ」ということではない。むしろ、お金の本質を理解し、金融機関と適切に交渉しながら経営を守るべきだというメッセージが込められている。
日本人の多くは「借金=悪」「借りたものは必ず返すべき」という強迫観念を持っている。しかし、これを金融機関のイメージ戦略によるもの。実際の現場では、借金は返すものではなく「回すもの」であり、銀行も貸倒リスクを織り込んで融資を行っている。
特に中小企業の経営者は、借金返済に追われて本業を圧迫されるケースが多い。本書では、そうした状況を回避し、資金を最大限活用するための具体的な戦略が紹介されている。
また、本書の核心部分として、住宅ローンや連帯保証人のリスクにも言及されている。これらの制度がいかに個人や経営者を縛り付けるかを解説し、「借金を必要以上に罪悪視するべきではない」という新しい視点を提示している。
ポイント
1.「借金=悪」の固定観念を捨てよ
本書が強調するのは、「借金は悪ではない」という視点である。特に、日本では「借金=恥」「借りたものは必ず返すべき」という道徳観が根強い。しかし、企業経営においては、資金調達こそが成長の鍵であり、適切に借り入れを活用しなければ競争に勝てない。
例えば、大企業の多くは戦略的に借入を行い、資金を回しながら成長を続けている。一方で、中小企業経営者は「借金をできるだけ減らす」という方向に走りがちだ。その結果、資金繰りが悪化し、最悪の場合、事業の継続が困難になる。
本書では、資金調達を「攻めの手段」として捉え、銀行との交渉力を持つことが重要であると説いている。
2.住宅ローンは「借金」である
多くの人は「住宅ローンは健全なもの」と思い込んでいるが、実際には年収の5倍、6倍(最近は10倍を超えることも)もの借金を35年間も背負う行為であり、これは金融機関の巧妙なマーケティング戦略によるものだと感じる。
これは冷静に考えれば莫大な借金にほかならない。何度もブログで書いているとおり私自身は「賃貸派」であり、以下の理由から住宅購入には慎重であるべきだと考える。
• リスクが大きすぎる(年収の何倍もの借金を背負う)
• 購入と賃貸で経済的な差はほとんどない
• 住宅ローンがあると他の投資ができない
• 未来に得るお金を先に銀行に押さえられてしまう
• 転勤や震災・周辺環境の変化など、ライフスタイルの変化に対応できない
もちろん、住宅購入には個々の価値観が反映されるため、正解は人それぞれだとは思う。しかし、「住宅ローン=安全」という思い込みは、銀行が作り上げたイメージに過ぎないという点は押さえておくべきだ。
3.連帯保証人には絶対になるな!
本書では、日本特有の「連帯保証人制度」の危険性についても警鐘を鳴らしている。先進国ではほとんど見られないこの制度は、他人の借金を肩代わりさせられるという極めて理不尽な仕組みである。
どんなに親しい間柄でも連帯保証人には絶対になるな! と断言したい。借金や破産・倒産は、誰にでも起こりうる問題であり、「払えない」という状況は決して犯罪ではない。重要なのは、感情的にならずに冷静に対処することである。
4.「借金は返せないときは返さなくてもいい」という視点
意図的な踏み倒しは道義的に問題がある。しかし、金融機関は貸倒れリスクを織り込んでビジネスをしているため、必要以上に引け目を感じる必要はない。
経営者が追い詰められたとき、「とにかく借金を返さなければ」という強迫観念に囚われ、自ら破滅へ向かうケースは少なくない。しかし、法律を理解し正しい手続きを踏めば、無理に返済する必要はない場合もある。
「借金に関する法律知識を持つことが何より重要」である。金融機関はプロフェッショナルな交渉集団であり、企業側も同じように知識を武器にすべきだ。
まとめ
本書『企業再生屋が書いた借りたカネは返すな!』は、借金の本質を学び、経営を守るための一冊である。
金融リテラシーが不足していると、経営だけでなく個人の人生すらも危機に陥る。本書を通じて、「借金との正しい向き合い方」を学ぶことができるだろう。
ビジネス書は、全文を一度読むより、たった一つのポイントでも毎日読み返して自分の血肉にすることが大事。響いた点があればあなたの読書メモにも蓄積を。
おしまい
