成功本まとめシリーズ。
著者
斎藤一人
日本でも指折りの高額納税者として知られる実業家、著作家、講演家である。銀座まるかんという健康食品・化粧品の会社を経営し、その販売戦略と哲学で驚異的な業績を上げてきた。「商売の神様」とも称されるが、彼の真価は単なる経済的成功にとどまらない。独特の言葉遣いとユーモアを交えながら、豊かで幸せな人生を送るための思考法を伝えるカリスマ的存在である。
特筆すべきは、彼が「教祖的」な存在にならず、あくまで「楽しく生きる」ことを推奨する点である。「成功」と「幸せ」は切り離せないという考えのもと、多くの人々にポジティブな影響を与えてきた。本書は、そんな斎藤一人氏の人生哲学が詰まった一冊である。
要約
本書は、一貫して「ツイてる」と言い続けることで運気が上がるというシンプルなメッセージを中心に展開されている。「ツイてる」とは、単なる口癖ではなく、物事を前向きに捉える思考習慣そのものである。たとえ嫌なことが起きても「ツイてる」と言えば、視点が変わり、次第に良い流れがやってくるというのが著者の主張である。
また、著者は「成功」とは努力の結果ではなく、「考え方の違い」から生まれるものだと説く。多くの人は成功のために苦労や努力が必要だと考えがちだが、実際には「楽しい」「ワクワクする」と感じる方向に進んだ方が成功しやすい。なぜなら、ワクワクすることは長続きし、結果的に人より多くの経験を積むことができるからだ。
さらに、「言葉の力」が運命を変えると述べている。日常的に発する言葉が、その人の未来を形作る。ネガティブな言葉を口にすると、その言葉通りの現実を引き寄せる。逆に、ポジティブな言葉を習慣化することで、良い出来事が次々と訪れるというのが一人流の考え方である。
ポイント
本書には、実生活で活かせるヒントが随所に散りばめられている。その中でも特に重要なポイントを3つ挙げてみよう。
①「ツイてる」と言い続ける
著者の提案は実にシンプルだ。どんな状況でも「ツイてる」と口にするだけで良い。たとえば、雨に降られたら「ツイてる、恵みの雨だ」、電車に乗り遅れたら「ツイてる、おかげで事故に遭わなかったかもしれない」と考える。この「ツイてる」思考が習慣化すると、不思議なことに本当に運が良くなっていくという。
これは単なる自己暗示ではなく、脳の仕組みにも関係している。人間の脳は、意識的にフォーカスしたものを現実に引き寄せる性質がある。つまり、「ツイてる」と言い続けることで、脳が無意識にポジティブな要素を探し、結果的に「ツイてる人生」になっていくのだ。
②「楽しいことを選ぶ」
多くの人が、人生において「努力しなければならない」「我慢が美徳」と考えがちだ。しかし、著者は逆の発想をする。「楽しいことを選ぶ」「ワクワクする道を進む」ことで、自然と成功へとつながるというのだ。
これは、一見すると楽観的すぎる考えに思えるかもしれない。しかし、長期的に見れば「好きなことなら続けられる」「楽しいことをしていると人が集まる」という法則が働く。結果的に、好きなことを極めた人が成功するのは理にかなっているだろう。
③ 言葉の力を信じる
本書では、「発した言葉が未来をつくる」と繰り返し強調されている。特に、以下の言葉を習慣的に使うことで、人生が変わると述べている。
• 「ツイてる」(運気が上がる)
• 「ありがとう」(感謝の気持ちが幸運を引き寄せる)
• 「楽しい」「嬉しい」(ポジティブな感情がチャンスを呼ぶ)
逆に、「疲れた」「嫌だ」「最悪」といった言葉は絶対に口にしないようにすることが大切だ。日常的に発する言葉を意識的にポジティブなものに変えることで、自然と人生が好転していくという。
まとめ
『変な人が書いた驚くほどツイてる話』は、極めてシンプルな成功哲学を提示している。しかし、そのシンプルさゆえに実践しやすく、効果を実感しやすいのが魅力なのではないだろうか。ひたすら「ツイてる」と言い続けること、楽しいことを選ぶこと、ポジティブな言葉を使うこと——どれも難しいことではない。それでいて、これらを続けるだけで人生が変わるのだから、試さない手はない。
「変な人」とタイトルにあるように、斎藤一人の考え方は一般的な成功法則とは異なる。しかし、彼の人生がその実践の証明となっている以上、少なくとも試してみる価値は十分にある。「ツイてる」と言い続けることが、自分の未来を変える第一歩かもしれない。
ビジネス書は、全文を一度読むより、たった一つのポイントでも毎日読み返して自分の血肉にすることが大事。響いた点があればあなたの読書メモにも蓄積を。
おしまい
