情報を制する者が、時代を制する。特に、書籍という媒体においては、それが如実に現れる。紙の束に刻まれた知識や思想は、時として人間の生き様そのものを変え得る。そして、そこに込められた「著者の意図」を読むことは、昔から変わらぬ人類の最重要スキルの一つと言っても差し支えない。
さて、書籍と人間の関わりは今に始まったことではないが、問題は「どの書籍に手を伸ばすか」ということである。リアル書店に足を運び、新刊の棚を眺める。かつてはそれが常道であったし、私もそうしてきた(今もたまにやる)。しかし、ここ数年は忙しすぎて時間が惜しい。目的の情報に辿り着くまでの「無駄足」をできる限り省きたい。だが、だからといって情報の鮮度は犠牲にしたくはない。そんな矛盾を解決する手段が、意外にもシンプルな方法にあった。
アマゾンの「発売日フィルター」を使う
アマゾンという巨大な書籍流通プラットフォームを、未だ単なる通販サイトと思っている者がいるなら、それは早晩、情報戦に敗北する。アマゾンは現代の「知のアーカイブ」であり、使いようによってはリアル書店を超える情報収集の武器となる。
私が実践している方法は、いたって単純である。アマゾンの検索窓に興味のあるジャンルや人物──たとえば私の場合だと「生成AI」「政治経済」「堀江貴文」「橘玲」などと打ち込み、検索フィルターで「発売日」を「90日以内」、あるいは「30日以内」に絞る。ただそれだけである。
されど、その効果は絶大。これにより、いままさに市場に投入されたばかりの情報、つまり「旬の知識」に瞬時にアクセスできる。通常であればリアル書店の新刊棚を物色しなければ辿り着けなかった情報の波に、自室の椅子に座ったまま溺れることができる。
最低でも月に一度はチェックする
この方法、最低でも月に一度は行うことを推奨する。理由は単純だ。情報は待ってはくれない。気がつけば、情報はあなたを置き去りにし、気づいた時には周回遅れとなっている。その焦燥感を味わいたくなければ、自ら情報を狩りにいかなければならない。
検索結果をじっくり眺め、目についたものは即座に「ほしい物リスト」へ放り込んでおく。どうしてもすぐに読みたいと思うもの以外は購入はしばらく先でもいい(どこかのタイミングでセールに引っかかって半額くらいで買える可能性が高い)。レビューを読むこともあるが、それはあくまで参考に過ぎない。最終的に判断するのは、自分の「勘」である。これまで何度も、その「勘」に助けられてきた。
書店に頼らない、という選択
リアル書店の魅力は認める。偶然の出会い(=セレンディピティ)、棚の並びに潜む編集者の意図、手に取った時の紙の質感──そうしたものに心を動かされることもある。しかし、それが全てではない。アマゾンでの検索もまた、ある意味では「偶然の出会い」を演出する。自分が打ち込んだ検索語と、フィルターで抽出された書籍たち。その中に、予期せぬ一冊が潜んでいることも少なくない。
そして何より、時間を効率化できる。情報収集において、時間こそが最大の資源だ。これを無駄にする理由は、どこにもない。
最後に
情報の選別は、自らの知性を鍛える作業とも言える。そのための道具は、時にネットに転がっている。「アマゾンのフィルター機能」などという、あまりに平凡な仕組みであっても、使いこなせば刀にもなるし、盾にもなる。
何を読むかは、どう生きるかに直結する時代だ。その選択を他人任せにしないためにも、自分の手で情報を掴み取る。その第一歩として、アマゾン検索術は非常に有効であると、私は思う。
おしまい