
「社会人と受験生、どちらの方が大変か」というテーマを本日は論じてみたい。
特に、高校時代に厳しい受験勉強を乗り越えた後、社会に出て働き始めると、「受験勉強なんてまだ楽だった」と感じる人も少なくないようだ。一方で、「仕事よりも受験の方が圧倒的にキツかった」と語る人もいる。
では、実際のところどちらが大変なのか? 今回は、私の経験ベースで、プライム上場企業レベル(JTC)の社会人生活と、難関私大文系受験を比較し、時間的負担・精神的ストレス・体力的負担の観点から考えてみたい。
1.時間的負担──社会人は長時間働くが、受験生の方が自由時間が少ない
社会人の労働時間は長いが、勉強時間の方が圧倒的に多い
社会人の労働時間は、法定労働時間である1日8時間・週40時間が基本である。しかし、特にプライム上場企業の正社員となると、残業が日常的に発生する。2024年のデータでは、ビジネスパーソンの平均残業時間は月21時間とされ、これは平日1日あたり約9時間の勤務に相当する。
一方、難関大学に合格する受験生は、圧倒的な勉強時間を費やしている。ある調査では、早慶クラスの大学に合格した現役生は、高3の秋以降、学校の授業以外で1日平均6時間30分勉強していたという。これに学校の授業時間を加えると、合計12時間以上を勉強に費やしていることになる。さらに、直前期には1日10〜12時間勉強する受験生も珍しくない。
社会人も仕事に多くの時間を費やすが、業務時間外は自由であり、休みの日はプライベートな時間を過ごせる。
しかし、受験生は基本的に勉強以外のことをする時間がほぼない。遊ぶ時間はもちろん、スマホやテレビに触れる時間すら制限されることが多い。
つまり、自由時間の少なさという点では、受験生の方が社会人よりも圧倒的に厳しい環境に置かれていると私は考える。
2.精神的ストレス──仕事の責任は重いが、受験は「未来が決まる恐怖」との戦い
仕事のストレス vs. 受験のプレッシャー
社会人のストレスの大きな要因は、責任の重さと人間関係だ。仕事では、上司や顧客の期待に応えなければならず、ミスをすれば会社の利益や同僚の業務に悪影響を与える可能性がある。特に、プライム上場企業のような大企業では、プロジェクトの規模も大きく、プレッシャーも相応に重い。実際、「職場でストレスを感じている」と答えた社会人は74.3%に上るというデータもある 。
しかし、大学受験のプレッシャーもる調査では、受験生の9割がストレスを感じ、約7割が「受験うつ」のような症状を経験したと報告されている。
受験生の精神的負担は、主に以下のような要素から生じるプレッシャーである。
• 大学受験は、その後の進学、ひいては就職や人生設計に影響を及ぼす。そのため、「失敗したらどうしよう」という不安が常につきまとう。
• 模試や過去問の結果で一喜一憂する。学校の同級生の状況も気になって仕方がない。
• 受験生は定期的に模試を受け、その成績によって合格可能性が変動する。成績が悪いと絶望感を抱き、良くても「本番でダメだったら…」という不安がつきまとう。
• 親や教師からのプレッシャー
• 特に塾や学校では、「ここで落ちたら後がない」「今が人生の分かれ道」といったプレッシャーをかけられ、精神的に追い詰められることが多い。
社会人のストレスは確かに重いが、「今の仕事がダメなら転職する」という逃げ道がある。しかし、受験生には基本的にやり直しが効かないという現実がある。浪人という選択肢もあるが、経済的・精神的に厳しくなるため、現役合格へのプレッシャーは大きい。
3.体力的負担──受験勉強は「体力の消耗が激しい」
受験生の方が圧倒的に疲れる生活
社会人は長時間労働による疲労が蓄積するが、受験勉強もまた体力的に非常に過酷である。
受験生は、毎日何時間も机に向かい、文字を読んだり問題を解き続ける。脳の酷使により、慢性的な疲労感に悩まされることが多い。さらに、座りっぱなしの生活により、血行不良や肩こり、腰痛などが発生しやすく、運動不足による体力低下も深刻だ。
この点、社会人は昼に1時間ランチの休憩を取りリフレッシュできるし、それ以外の時間もタバコやコンビニに行ったりして休憩することもできる。
加えて、受験生の多くは睡眠時間を削る。難関大学に合格した受験生の多くが、直前期には1日5〜6時間睡眠で勉強していたというデータもある 。これにより、集中力の低下や免疫力の低下が起こり、体調不良を引き起こすことも多い。
4.結論──大学受験の方がキツい
社会人の生活が楽というわけではない。しかし、受験と比べると、以下の点で大学受験の方が圧倒的に過酷であると考える。
・時間的に自由がない(社会人は休みがあるが、受験生は曜日に関係なく常に勉強)
・精神的ストレスが強烈(社会人は転職できるが、受験は一発勝負)
・体力の消耗が激しい(勉強漬けの生活が続き、慢性的な疲労がたまる)
社会人になってから「受験の方が楽だった」と感じるのは、単に時間が経ち、辛かった記憶が薄れているからだろう。少なくとも私の経験から実際に比較すれば、受験の方が遥かにキツいのは間違いないと言える。
したがって、まだまだ自分を追い込んだり、空いた時間を自己啓発に向ける余地があると感じた。残りの人生まだまだ頑張らないといけないと思った次第だ。
おしまい