一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

ChatGPTでロジカルシンキングの自分専用マニュアルを作ってみた話

夜が更けると、机に広げた数冊の本が目に入る。ロジカルシンキング、問題解決、仮説思考――。どれも一度は昔読んだ本だが、読み返すたびに新たな発見がある。

ここのところ、早めに家に帰り、終電までのナンパ活動を終えてから、こういった本を読み漁るのが習慣になっている。自己啓発の時間である。

照明を落とした部屋でじっくりと「考える」時間を持つようになったのは、恐らく年齢を重ねたせいでもあるが、直接的な理由は「もっと賢くなりたい」という単純な欲求だ。

思考を鍛える。そのための手段は多いが、今の自分にとって最も有効なのは「まとめること」、それも「体系立ててまとめること」だと思っている。

そこで思い立ったのが、ロジカルシンキングに関する自分専用のマニュアルを作るという試みだった。情報は頭の中に散らばってはいる。しかし、それをきちんと整理し、血肉化するには「形」に落とし込む必要がある。アウトプットこそが最大の学びであることは、これまで何度も痛感してきた。

 

ChatGPTとの対話で、思考は深まる

だが、単にノートに書き殴るのでは、これまでと同じだ。それでは質の高い知識の集積にはならない。

そこで最近活用し始めたのがChatGPTである。使い始めた最初は単なるAIチャットツールだと高を括っていた。しかし、最近の生成AIの進化は想像を遥かに超えている。まるで優秀な家庭教師、あるいはブレーンと対話しているかのような感覚を覚えている。

まずはマニュアルの目次を作成するところから始めた。イシューの特定から仮説立案、情報の構造化、ロジックツリーやピラミッドストラクチャーを駆使した思考整理、アイデア創出、ロジカルプレゼンテーションまでを一気通貫で学べる内容とする。

目次をChatGPTに共有し、「この目次に沿って、どんな内容が必要になるか」を議論する。ここで重要なのは、AIに丸投げしないことだ。あくまで「対話」を重ねながら、自分の考えとAIの提案をぶつけ合い、ブラッシュアップしていく。

ChatGPTの良いところは、抽象と具体を行き来するのが得意な点だ。「イシューの特定とは何か?」という曖昧な質問にも、論理的に分解し、具体例を提示しながら説明してくれる。さらに「その考え方は、どのフレームワークと親和性が高いか」といった応用的な質問にも答えられる。まるで、ロジカルシンキングのプロフェッショナルとディスカッションしているようだ。

 

書籍のエッセンスを統合する作業

ChatGPTと対話を繰り返すうちに、ふと気づいたことがある。

それは、今まで読んできた数々の名著のエッセンスが、自然と統合されていくことだ。たとえば、バーバラ・ミントが説くピラミッドストラクチャーの基本原則は、そのまま「論理の階層構造」としてロジックツリーに応用できる。安宅和人が言う「イシューからはじめよ」という視点は、まさに問題解決のスタート地点としての仮説思考とリンクしている。

これまで点在していた知識のピースが、ChatGPTとの対話を通じて、滑らかに接続されていく。この瞬間の快感は、なかなか言葉にしにくい。あえて表現するなら、「ようやく地図が描け始めた」とでも言おうか。森を見て、木も見て、その関係性までを含めた体系が、目の前に広がっていく感覚だ。

 

自分専用マニュアルの意義

ここで言う「自分専用」というのは、単にパーソナライズされた内容という意味ではない。「自分の頭で考え、自分の言葉で説明できる」レベルまで咀嚼された内容、という意味だ。だからこそ、ChatGPTと繰り返しディスカッションし、何度も目次を組み替え、チャプターの構成を見直す作業が欠かせなかった。

たとえば、「問題解決のプロセス」を解説する章では、はじめ「現状把握」「課題の特定」「解決策の立案」といった教科書的な順序で構成した。しかしChatGPTとの議論を経て、「イシューの優先順位づけ」という項目を冒頭に持ってきた。理由は簡単で、課題の選定を間違えれば、どんなに優れた解決策も意味を持たないからだ。この「順番の最適化」という思考自体が、すでにロジカルシンキングの鍛錬である。

私は、このマニュアルを印刷して、日々使っている手帳に挟み、職場で何かを「考える時間」には常に眺めるようにしている。

 

夜中の自己研鑽は続く

今もなお、この作業は続いている。平日の夜、誰にも邪魔されない時間にPCを開き、ChatGPTを起動する。そして、自作マニュアルの一部を読み返し、改良点を探す。「もっと良い問いはないか」「仮説の精度を上げる方法はあるか」。問いかけるほどに、自分の思考は磨かれ、マニュアルは洗練されていく。

完成版は、いつかこのブログで公開したいと思っている。だが、それはまだ先の話だろう。なぜなら、ロジカルシンキングとは「一度学べば終わり」ではない。常にブラッシュアップされ、環境に適応し続けるものだからだ。完成のない作業を続ける覚悟こそが、思考を鍛えるために必要な態度だと、今は思っている。

結局のところ、自分が納得できる思考の型を持つには、地道な積み重ねが欠かせない。そして、そのための最高の相棒が今はChatGPTだというだけの話である。いや、そんな単純な話ではないかもしれない。だが、深夜の机に広げられたマニュアルのページをめくるたびに、「今の自分は、少しだけ昨日より賢くなっている」と感じられるのなら、それで充分だ。

 

おしまい