先日の休日、久々に新宿に行った。
目的は明確で、ロジカルシンキングや問題解決、フレームワークなどの、いわゆる「コンサル系」と呼ばれる類の書籍を網羅的に洗い出し、今後の読書計画を再構築することであった。
場所は紀伊國屋書店の新宿本店とブックファースト新宿店。この二軒をハシゴすることで、世の書籍の大多数の情報は押さえられる。もちろん、他にも書店はある。だが、自分の目的に合致するラインナップを揃えている店で自分の家からのアクセスを考慮すると、自然とこの二択に絞られるのだ。
目に映る本は、既に自分の中にあるものばかりだった
書棚に並ぶ背表紙を眺め、手に取り、まえがきと目次を確認する。内容をさっとなぞる。
知っている。これも読んだ。ああ、これはKindleにダウンロード済みだ。そんな感覚の連続だった。
少しばかり虚しさもあった。だが同時に、ある種の充足感にも包まれた。読書記録を「ここまで積み上げてきた」という自負である。アマゾンで「おすすめ」と表示されるアルゴリズムの中ではなく、リアルな書棚の前で、己の知識の座標を確認する。そんな時間となった。
アマゾンでも多くの良書に出会える。しかし、結局のところ、今の自分が何を知っていて、何が抜けているのか。その「穴」を発見するためには、こうして体を動かし、街に出るしかない。
知らなかった良書にも出会う
とはいえ、新しい発見がなかったわけではない。いくつか、見知らぬタイトルの本が目に止まった。それはアマゾンのレコメンド機能をすり抜けてきた作品であり、SNSの書評にも登場しなかったものたちだ。まだ「誰も語っていない」良書に、店頭で出会う。この瞬間はたまらない。
それらを数冊購入し、帰宅の途についた。紙の本は重い。だが、その重量感が「今日の収穫」を物理的に実感させてくれる。だからやめられない。
リアル書店の良さは「偶然性」（セレンディピティ）にある
先日、アマゾンで興味のあるジャンルの本を調べることの利点についても書いた。アルゴリズムは優秀だ。自分の趣味嗜好に合わせて、次々と本を提案してくれる。効率性を考えるとそれはそれでありがたい。しかし、そこには「予想外の出会い」が少ない。
リアル書店には、無数の「偶然」が転がっている。自分が興味のなかった棚にふと目をやった瞬間、「これは何だ？」と思うことがある。そうして手に取った本が、後に思いがけない知見を与えてくれることがあるのだ。
また、店員のポップや、特集コーナー、売れ筋ランキングもリアルならではの情報である。表紙のツヤ感、紙質、手触り、厚み。そういった「モノ」としての情報が、意外と自分の選書眼を鍛えてくれることもある。
情報収集は「活かしてなんぼ」
前々から、新聞や雑誌を読む時間をたくさん確保している。しかし、ただ読むだけでは自己満足である。
肝心なのは「情報をどう活かすか」である。この点を、ここ最近は痛感している。インプットした情報は、仕事であれプライベートであれ、自分の行動を変えなければ意味がない。紙の本だろうが、電子書籍だろうが、新聞だろうが、アウトプットの材料にしなければ「情報収集」という名の現実逃避で終わる。
だからこそ、今後読む本の「順番」を決めることに意味がある。何を優先し、何を寝かせるか。それを考えることが、情報を「使える形」にする第一歩なのだと思っている。
自己啓発の時間を確保する
最近は、仕事を早めに切り上げることを意識している。と言っても、定時に帰れる日はまだまだ少ない。だが、可能な限り残業を減らし、終電までナンパをして（笑）、その後の夜の時間を「自己啓発」に充てている。
紙の本を読むのもいいが、最近は動画サービスも改めて活用している。グロービス学び放題やSchooといったサービスは、質が高い。ちょっとした時間に、体系的な知識をインプットできるのはありがたいものだ。特にSchooはライブ配信もあるので、他の学習者とコメント欄で意見交換ができる点も面白い（私は参加しないが）。
だが、やはり最後は「紙の本」に戻ってくる。あの質感、文字を追う作業、パラパラとページをめくる行為。これが、思考を深めるうえで欠かせないプロセスになっているのだ。
おわりに
今回、新宿の書店を歩き回り、改めて感じたことがある。情報の世界は、どこまでも深く、広い。だが、そのすべてを手に入れようとする必要はない。むしろ、自分に必要な情報だけを選び取り、それを「血肉化」していくことが大切だ。
リアル書店の棚の前で、そんな当たり前のことを再確認した一日だった。手に入れた数冊の本は、これからしっかりと読み込み、機会があれば、いずれまた紹介したいと思う。
さあ、今夜もページをめくるとしよう。
おしまい
