一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

日経新聞の難しい記事はChatGPTにお任せ

かつての自分を思い返すと、日経新聞を読むという行為は、ちょっとした知的試練だった。

時として「どこで誰が何をしたのか」さえ分からなくなるような難解な文章に遭遇することがあった。たとえば、「YCCの修正を市場がどう織り込むかが焦点」などと書かれているとする。これを目にして、「YCCとはなんぞや」「市場が織り込むとは具体的に何をするのか」といった基本的な疑問が噴き出していた。ネット検索を駆使しても、書いてある説明は専門用語だらけで、読むほどに霧は晴れず、逆に視界は悪くなるばかりであった。

しかし、時代は変わった。ChatGPTをはじめとした生成AIの登場により、このようなもどかしさとは無縁になりつつある。少なくとも、私の日課である日経新聞精読は、このAIの力を借りて、格段に効率化され、理解の質も向上したのだ。

 

わからない単語も、文脈も、すぐに教えてくれる

ChatGPTの何が便利かと言えば、単なる言葉の意味を教えてくれるだけではなく、「その言葉が記事全体の中でどういう役割を果たしているのか」を丁寧に説明してくれる点にある。

たとえば、「YCCは日銀が金利をコントロールするための政策で、これを修正すると長期金利が動き、それが企業の資金調達や株価に影響を及ぼす」という具合に、経済の仕組みの一部として具体的に噛み砕いてくれる。

さらにありがたいのは、こちらが「もう少し詳しく」「この部分がよくわからない」と追加で聞けば、さらに踏み込んだ解説を加えてくれる点だ。たとえば「なぜ日銀はYCCを導入したのか?」という質問を重ねると、歴史的背景や当時の経済状況にまで遡って説明してくれる。こうなると、まるで目の前に親切で忍耐強い経済学者が座っているかのような感覚にすらなる。

 

記事全文を放り込んでも大丈夫なのか?

最近は、日経の記事全文をChatGPTに入力し、「この記事を分かりやすく説明して」と頼むこともある。これが実に有用だ。ChatGPTは、文章の構成を整理し、要点を抽出し、難解な部分には脚注のような形で注釈をつけてくれる。まるで「図解・超入門 日経新聞版」とでも言うべき内容に仕上げてくれるのである。

気になるのは著作権の問題だ。現時点(2025年4月時点)では、個人利用の範囲内であれば、日経新聞の記事をAIに読み込ませて内容を要約・解説させることは大きな問題にはならないとされている。もちろん、その内容をブログやSNSで公開する場合は話が別で、著作権法に抵触する可能性がある。

 

他の生成AIサービスも侮れない

ChatGPT以外にも、同様の機能を提供してくれるサービスは増えている。

たとえば、Googleの「Gemini」は、検索機能と連動しているため、リアルタイムの情報を参照しながらの解説が可能だ。時事ニュースや経済のトレンドなど、鮮度の高い情報を知りたい場合には、Geminiの方が優位に立つ場面もある。

さらに、Perplexity AIは、情報源を明示しながら説明を加えてくれるので、「どこからその情報を持ってきたのか」を確認しながら読み進めたい人には向いている。私も、ある経済指標の影響を調べる際、Perplexity AIに「出典付きで解説してほしい」と頼むことで、信頼度を自分なりに判断しながら学びを深めている。

 

検索能力は落ちるのか? それでもAIを使う理由

ただ、生成AIを使い続けていると、「自分の検索能力が落ちているのではないか?」という懸念も湧いてくる。以前なら、Google検索を駆使し、一次情報を探し、裏取りをするという作業を当たり前のように行っていた。それが、今やAIに「まとめて説明して」と頼るばかりになっている気がする。

だが、私はこの点については割り切っている。AIはあくまで「理解の助け」であって、最終的な判断を下すのは自分だ。AIが提供する情報を鵜呑みにせず、自分の考えと照らし合わせながら読み解いていけば、むしろ「情報を取捨選択する能力」は以前より研ぎ澄まされているとも言える。

 

生成AIは「使いこなす力」が鍵になる時代へ

生成AIが日経新聞を解読するパートナーになったことで、朝の情報収集は圧倒的に効率化された。だが、AIは万能ではない。ときに間違った情報を示すこともあるし、時事問題に対しては認識が古い場合もある。そのため、「AIに聞けばすべて解決」とはならないのだが、「使いこなせれば強力な武器」になることは間違いない。

日経新聞を読むたびに「こんな難しい記事、誰が読むんだ」と思っていた時代は、遠い昔になった。生成AIは、我々にとって新たな知の補助輪である。使いこなすも、依存するも、自らの意識次第だ。私自身、これからもこの便利な道具を使いこなし、さらに経済の理解を深めていこうと思う。

 

おしまい