ビジネスの世界では「考え抜く力」が重視される。問題解決やロジカルシンキングを駆使して、複雑な状況でも適切な判断を下す。そんな環境に身を置いていると、フレームワークという武器の重要性を痛感する。しかし、果たしてフレームワークを丸暗記することに意味はあるのか? 一見すると「思考停止」とも取られかねないアプローチだが、実は「丸暗記することで戦える領域」も存在するのではないか、という仮説を立ててみた。
私は、コンサルティングファームに勤めているわけではない。あくまで事業会社の法人営業だ。それでも、頭の回転が速い上司や同僚とやり合うには、思考の「型」を身につけることが不可欠だと考えている。であれば、「フレームワークを丸暗記すれば、それだけで十分戦えるのではないか?」
本稿では、フレームワークの丸暗記の弊害を整理しつつ、それでも敢えてこの方法を採る理由について述べていく。
フレームワーク丸暗記の弊害
フレームワークを丸暗記しようとすると、最も懸念されるのが「思考停止」だ。例えば、MECE(モレなくダブりなく)の概念を知っているだけで、物事を整理した気になってしまう。だが、現実の問題はそんなに単純ではない。完璧にモレなくダブりなく整理できるケースなどほぼ存在しないし、過信すると重要な要素を見落とす危険もある。
また、フレームワークありきで考えると、逆に柔軟な発想が阻害される。例えば、3C(Customer, Company, Competitor)分析を使おうとすると、それ以外の視点が抜け落ちることがある。本来、状況に応じてフレームワークをカスタマイズすべきなのに、知っている型に当てはめることが目的になってしまうのだ。
さらに、フレームワークを使いこなすには、単なる知識以上の経験や直感が必要になる。PEST分析(Politics, Economy, Society, Technology)を暗記していたとしても、各要素が具体的なビジネスにどう影響するのかを考えられなければ意味がない。結局のところ、丸暗記だけでは実務に落とし込めないというのが一般的な意見だろう。
それでも丸暗記を選ぶ理由
しかし、自分には「暗記力」という武器がある。大学受験の際、英単語を数千語覚え、数学は苦手だったが公式を覚えてなんとか対応した。そのおかげで、短期間で偏差値を大幅に上げることができた。この経験から、「まずは徹底的に暗記することで、応用力も後からついてくるのではないか?」と考えている。
フレームワークは英単語とは違い、何千も覚える必要はない。むしろ数学の公式に近く、ある程度の数を押さえれば、それを組み合わせて様々な問題に対応できるはずだ。だからこそ、中途半端に覚えるのではなく、マニアックなものまで含めて徹底的に暗記することで、どんな場面でも瞬時に適用できる状態を目指したい。
例えば、「ロジックツリー」を完璧に理解していれば、どんな複雑な問題にもツリー状に分解することで、整理しながら考えられる。
また、「バリューチェーン分析」を覚えておけば、自社やクライアントの強み・弱みを的確に把握できる。これらの型を瞬時に引き出せるようになれば、実務での応用力は格段に上がるはずだ。
実践に向けた具体的な取り組み
この仮説を検証するために、現在、フレームワーク・問題解決・ロジカルシンキング系の本を買い漁っている。以前のブログでも書いたが、「知識のストックがなければ思考のスピードも上がらない」と考えているからだ。
具体的には、以下のステップでフレームワーク暗記を進める。
1. 基本フレームワークの網羅
• まずは「MECE」「ロジックツリー」「3C」「4P」「バリューチェーン」「SWOT分析」など、定番のフレームワークを完全に覚える。
2. マニアックなフレームワークの習得
• 「ジョブ理論」「ブルーオーシャン戦略」「VRIO分析」など、少し高度なフレームワークまで範囲を広げる。
3. 実際の業務で使う
• 社内の会議や資料作成の場面で、意識的にフレームワークを適用し、反応を確かめる。
4. 使えるフレームワークを絞る
• 実務で本当に役立つものを選別し、よく使うものを重点的に磨く。
このプロセスを回すことで、暗記がただの知識に終わらず、実践で活きるスキルに昇華されると考えている。
まとめ
フレームワークの丸暗記には弊害もある。しかし、自分の得意な「暗記」という能力を最大限活かせば、ビジネス戦闘力を劇的に上げることができるのではないか。その仮説のもと、徹底的にフレームワークを覚え、実務で検証していくつもりだ。
結局のところ、重要なのは「使えるかどうか」だ。知識として知っているだけでは意味がない。どんな場面でも即座に引き出せ、適切に適用できるようになるまで、徹底的にインプットし、アウトプットしていく。
この方法が本当に有効かどうかは、今後の実践次第だ。引き続き、フレームワークの習得を進めつつ、成果についても検証していきたい。
おしまい