一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

ブックオフの思い出

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途中下車し、ブックオフへ寄り道

高校時代、部活の帰りに決まって皆で途中の駅で降りていた。理由は、ブックオフに寄るためである。

当時の目当てはスラムダンクだった。長いこと棚の前に立ち(時に座り込み)、静かにページをめくる。

そしてブックオフを出たあと、近くのコンビニへ向かい、カップラーメンをすする。一匹狼を気取る私にも、そんな思い出もある。

 

ブックオフは文化だった

今のブックオフは「買取専門店」「総合リユース」「ブランド品も扱う大型店舗」を特徴としているが、2000年代の前半当時はもっと雑多でサブカルな雰囲気だった。

棚の並べ方も雑だったし、値付けも雑で、マニアックな一冊を見つけた時はテンションが上がった。

特に中古の105円棚。たまに混ざる掘り出し物を見つけたときの喜びは、Amazonでは得られない。それがブックオフという場の価値だったと思う。

 

地方のブックオフ、私の心のオアシス

前職では地方出張が多く、車であちこちを移動する生活をしていた。慣れない土地を走る中、ブックオフの黄色い看板が見えると、心が安らいだ。トイレがある。冷房がある。そして、自己啓発書の棚。

そして、駐車場で缶コーヒーを飲みながら、次の訪問先へのルートを確認する。そんな静かなで優しい時間。ブックオフは、単なる古本屋ではなかった。

 

立ち読みはなぜ消えた?

閑話休題

先日久しぶりにブックオフに入ってみた。昔と同じようにマンガ棚の前を通る。だが、違和感があった。

 

——誰も立ち読みをしていない。

 

昔は立ち読み客で溢れかえっていたマンガコーナーが、閑散としている。

スマホの台頭、マンガアプリの普及、電子書籍の躍進。こんな時代に、わざわざ本屋に行くのは、時代遅れなのかもしれない。

 

ブックオフがくれたもの

私にとって、ブックオフは数少ない青春の1ページだった。

仲間と寄った駅の途中下車。スラムダンクを夢中で読んだ帰り道。

そして、地方出張の合間に見つけた、黄色い看板の安らぎ。

そこには、誰にも邪魔されない、自分だけの時間が確かにあった。

 

立ち読みは消えたかもしれないが、それは消費の形が変わっただけで、「掘り出し物とである興奮」や「不思議な安らぎ」そのものが失われたわけではない。

やはり、私はブックオフが好きなのである。

 

おしまい