一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

家事キャンセル勢のための、ストレスを減らす部屋との付き合い方

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人生には取捨選択が必要だ。

何かを本気でやるなら、何かを切り捨てねばならない。

 

仕事に真剣に向き合い、自己啓発に時間とカネを投じ、夜にはストリートという“現場”に出て自分を鍛える。

そうしたストイックなライフスタイルを貫けば、当然ながら家庭内の雑務には手が回らなくなる。

 

気がつけば、部屋は荒れていた。

食器はシンクに放置され、洗濯物は山積み。床にはコードとゴミが混在し、冷蔵庫には賞味期限切れの牛乳。

だが、自分の行動には言い訳も逃げもない。ただ、限られた時間の中で何を優先するか、それだけである。

 

とはいえ、ここ最近ふと思ったのだ。

「部屋が汚いと、疲れが抜けない」。

 

たかが散らかり、されど散らかり。これは思ったよりも深刻な問題かもしれない。

今回は、自分のようなストイック系ズボラ男に向けた「最小の努力で“整った感”を出す方法」について書いておきたい。

 

なぜ「家事キャンセル勢」になってきてしまったのか

原因は明確である。時間が絶対的に足りないのだ。

 

朝はギリギリまで寝て、昼は仕事で無駄に神経を使い、夜は鍛錬と実地訓練(ナンパ)に出かける。

このスケジュールに“掃除”“片付け”“整理整頓”が入る余地は限りなく小さい。

だからこそ「後回しにしても問題ない」と脳が勝手に判断する。結果、部屋が荒れる。

 

家事というのは、スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』で言えば、「緊急ではないが重要なこと」に該当する。

完訳 7つの習慣 人格主義の回復: Powerful Lessons in Personal Change

火事場のように今すぐやらなくてはいけないわけではないが、放置すれば確実にダメージが蓄積していく。

それが厄介なのだ。

 

散らかった部屋が引き起こす5つの地味な弊害

一見すると、部屋が多少汚れているだけで何か問題があるようには思えない。

だが実際には、視覚情報や生活動線を通じてじわじわと心と体に悪影響を及ぼしてくる。

以下は、放置された部屋が引き起こす典型的な“地味なダメージ”である。

 

・探し物が増える
→ 散らかった環境は脳にとっての“雑音”。カギや財布が見つからないことで、毎回イライラと時間を無駄にする。
・洗濯・食事の段取りが崩れる
→ 服が干されていない、洗ってない食器しかない。そんな状態では日々のルーティンが乱れ、疲労が抜けにくくなる。
・女子を家に呼ぶ時にホコリや水回りの汚れが気になる
→ 自信を持って招けない部屋は、社交にブレーキをかける。意識のどこかで“恥ずかしさ”が残る。
・「俺、部屋も片付けられないな…」という自己否定感
→ 帰宅して荒れた部屋にため息をつく瞬間、自分の“限界”を突きつけられたような気がする。
・帰宅時にテンションが下がる
→ 戦い終えた夜、疲労困憊で帰宅した瞬間に目に入る「荒れた景色」。これはメンタルに小さなダメージを与える。

このように、散らかった部屋は“静かな消耗戦”を仕掛けてくる。放置していては、知らぬ間にペースを崩されてしまう。

 

掃除に“まとまった時間”を取らなくていい理由

多くの人が「掃除しなきゃ」と思うとき、つい“週末に一気にやる”という発想になる。

だがそれは、すでに予定で埋まっている我々にとっては非現実的な選択肢だ。

 

週末は読書や筋トレ、外出やリサーチに時間を割きたい。となれば、掃除は「できる時にやる」しかない。

ここで必要なのが、“まとまった時間を取らずにできる掃除の方法”である。

 

ポイントは、「日常動作」と「掃除」を連動させてしまうことだ。

つまり、トイレに入ったとき、歯を磨くとき、台所で水を使うとき——

そうした“視覚と行動の接点”にマイクロ掃除を差し込めば、習慣的な片付けが可能になる。

 

スキマ時間にこなす「マイクロ家事ルール」のススメ

大掃除は無理でも、“一瞬だけ整える”ことならできる。

そんな考えから生まれたのが、マイクロ家事ルールだ。以下にその実例と注意点を紹介する。

 

■マイクロ家事ルールのメリット

・意志力を使わずに習慣化できる
・自己否定感を予防できる
・時間を圧迫せず、生活の流れを壊さない
・「ちょっと整ってる部屋」が維持できる

 

■注意点

・毎回できなくても自分を責めない
・完璧を目指さず「ましになればOK」くらいの心構え
・成果が目に見える作業を選ぶ(達成感が続く)

 

■具体的なルール例

・トイレ
→ トイレットペーパーの予備をチェックし、クイックルワイパーで便座をサッと拭く
・台所
→ コンロ周りを1拭き。スポンジを水切りトレイに立てるだけでもOK
・冷蔵庫を開けたとき
→ いらないモノを1個捨てる。飲みかけのお茶を飲み切る
・パソコンを稼働するまで
→ 部屋に放置された洗濯物を1つしまう
・歯磨き中
→ 洗面台の縁をタオルで拭く。1回で目に見える成果が出るのが良い
・洗濯
→ 洗濯機は帰宅してすぐに回しておき、通るたびに1〜2枚ずつ干す

 

“ついで”の意識でやることで、やらなかった時もダメージがない。

だが、やった時には確かな「整った感」と「自分、やれてる感」が得られる。

 

完璧じゃなくていい。「整ってる感」が全て

重要なのは、「きれい」かどうかではなく、”整ってるように見えるか”である。

人間の脳は、視覚情報に強く影響される。だから、床に物が落ちてない、布団が畳まれている、机の上がスッキリしている。

それだけで「この空間は整っている」と脳は判断してくれる。

 

生活において必要なのは、完璧な掃除ではなく、“疲れないための環境整備”である。

つまり、整えることでエネルギーを回復させ、また前に進める状態をつくることだ。

 

「整っている空間」は、あなたを歓迎する味方になる。

「散らかった空間」は、あなたを責める過去の証拠になる。

 

この違いは、地味にして決定的である。

 

おわりに

多忙であればあるほど、部屋は荒れる。

だが、そんなときこそ小さな整えが大きな余白を生む。

 

1日1拭き、1枚だけ干す、それだけで十分だ。

完璧じゃなくていい。だが、“戻れる空間”を用意しておくことは、精神衛生の基本である。

 

今日もまた夜の街へ出ていく前に、クイックルワイパーを手に取ってみよう。

 

おしまい