一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

【成功へのメモ】『Makers』

成功本まとめシリーズ。

MAKERS 21世紀の産業革命が始まる

MAKERS 21世紀の産業革命が始まる

著者

クリス・アンダーソン

著者は、有名なテクノロジー雑誌の元編集長で、これまでに『ロングテール』や『フリー』といったベストセラーを書いてきた人物だ。インターネットが経済の仕組みをどう変えてきたかを語る筆には定評がある。そして今回の『MAKERS』では、その視点を「ハードウェア」、つまり実際に形のある「モノを作る世界」に向け、「これからは、誰でも工場のようなことができる時代だ」と力強く主張している。

要約

本書は大きく二つのパートに分かれている。

前半では、3Dプリンタオープンソースの設計図が組み合わさることで、「個人」がアイデアを形にし、世界中に販売できる環境が整ってきた現実を紹介している。

後半では、クラウドファンディング(ネットで出資を募る仕組み)や、小規模なものづくり工房、オンラインでの受託生産など、新しい“作って売る”ための手段を取り上げながら、こうした流れが今の大企業中心の大量生産モデルを根本から変えていくと語っている。

著者は「ネットの世界で起きた変化(ロングテール現象)が、今度はハードウェアの世界でも同じように起こる」と断言しており、「誰でもラップトップ1台で“製造業”に関われる時代が来た」と読者に伝えている。

ポイント

・アイデアがあれば誰でも始められる時代
クラウドファンディングが一般化したことで、「商品を作ってから売る」のではなく、「欲しい人がいるとわかったら作る」という流れが普通になってきた。つまり、いきなり大量に作って在庫を抱えるリスクを取らなくてよくなった。これにより、個人でも本格的なものづくりが可能になっている。

・“売れる商品”はメジャーだけじゃない
昔は、マニア向けのニッチな商品はなかなか売れなかったが、今ではインターネットで全国・全世界に届けられる。結果、少数派のニーズを集めることで、大企業の商品にも匹敵する売上を出すことができるようになった。

・ものづくりも“オープン”になる
ソフトウェアの世界では、みんなでコードを共有して改良する「オープンソース」が広まっているが、今ではこれが物理的なモノの世界にも広がってきている。例えば、誰かが作った部品の設計データをもとに別の人が改良する、といったことが当たり前になりつつある。

・町工場に再び光が当たる
かつては工場がどんどん海外に移転し、地元の工場が廃れていった。しかし、これからは「少量でいろんな種類のもの」を作れる工場が求められるようになる。こうした変化が、地域に仕事を生み出す可能性も秘めている。

・「作る自由」と「自分で責任を取る」こと
誰でも簡単にものづくりができる時代になった反面、失敗したらその責任も自分で負わなければならない。単なる思いつきで終わらせず、実際に作り、売り、届ける覚悟が求められる。著者はこの点について、読者に厳しい姿勢で臨んでいる。

誰に読んでほしいか

・副業・起業を虎視眈々と狙うビジネスパーソン
製造業は資本集約的で手が出ない、という思い込みを粉砕する一冊。

・地域経済の再生策を模索する行政担当者・金融機関
巨大な誘致より、小さなメイカーエコシステムの連鎖こそが地力を上げるという視点を得られる。

・STEM教育に携わる教師・親
「作る→売る→学ぶ」のサイクルを教材として活用するヒントが詰まっている。

・停滞感に苛まれるクリエイター
ソフトからハードへ越境することで、表現の射程を物理世界にまで拡張できる。

まとめ──世界は、ほんの数人の手で変えられる

この本で描かれる“メイカー革命”は、単に技術の進化を称えるだけの話ではない。

「自分のアイデアを形にし、それを世の中に出す力こそが、これからの最大の武器だ」と著者は主張している。そしてそのために必要なのは、大きな資金でも人脈でもなく、“やってみる勇気”と“学びながら動き続ける姿勢”だ。

大量生産による「なんとなく便利」な生活から抜け出し、自分の「本当に欲しいモノ」を自分で作る。そして、それを同じように感じる人に届けていく。それが、現代における“自由”であり、同時に“責任”でもある。

著者は、読者に問いかける。「君は、ただの消費者で終わるのか? それとも、世界を変えるメイカーになるのか?」

読み終えたとき、次にすべきことは明確だ。小さくてもいいから、まず作ってみる。作ったら、すぐに公開する。その反応を見て、また次を考える。そのループを回し続ける限り、革命はすでに始まっている。

 

ビジネス書は、全文を一度読むより、たった一つのポイントでも毎日読み返して自分の血肉にすることが大事。響いた点があればあなたの読書メモにも蓄積を。

 

おしまい