一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

刻石流水──恩を刻み、情けを流す

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「刻石流水(こくせきりゅうすい)」という四字熟語がある。

仏教教典からきているこの言葉の意味は、「かけた情けは水に流せ、受けた恩は石に刻め」というもの。

短い言葉ながら、人間関係における理想的な姿勢を示した格言であり、最近になって、この言葉が自分の座右の銘にふさわしいと強く感じるようになった。特に後段の「受けた恩は石に刻め」という部分が気に入っている。

 

私はこのブログのタイトルにもなっているとおり、基本的に一人を好む一匹狼な性格で、人間関係は互いに干渉しないドライな関係が良いと考えている。

したがって、自分自身があまり他人を助けようとしないので、その分困っている時に他人から助けてもらったありがたみというものは、絶対忘れられないのである。

 

そこまでの恩義がある人間はそこまで多くはないが、何人かいる。

たとえば、新入社員の頃、右も左もわからず潰れそうになっている私に声をかけ、手を差し伸べてくれた先輩がいた。

また、プライベートのトラブルで心が折れかけている時に、それが解決するまでそっと私の業務負担を減らしてくれた上司もいた。

そうした小さな支えがあるからこそ、落伍者にならずにここまでこられたと思う。

 

とりわけ忘れられないのは、数年前に未経験の業界であったにもかかわらず、給料据え置きで雇ってくれた現職の部長である。

この人がいなければ、私は今のキャリアを歩むことはできなかっただろう。まさしく「人生を変えてくれた恩人」である。

実は先日、その部長が退職して次のステージへ進むと聞き、私はあらためてこの「刻石流水」という言葉を噛みしめている。

 

彼にはどうしても感謝を伝えたいと思っている。

具体的にどうやって伝えればよいのかと悩んでいるが、私は三つの方法があると考える。

 

まず第一に、言葉で伝えること。

直接「あなたが雇ってくれたことが人生を変えた」と率直に言えばよい。退職や異動の場で多くの人が口にする感謝の言葉も、具体的で心からのものなら特別な意味を持つだろう。

 

第二に、形にして残すこと。

手紙や贈り物は、時間を経ても残る。名前入りのハンカチやボールペンなど、社内のオフィシャルな送別会とは別に、個人的な送別会をやるので、その際に渡そうと思う。あくまで押し付けがましくならず、もらっても困らないものを渡そう。


そして第三に、行動で示すこと。

最終的には、恩を受けた自分が成長していく姿をみせることが、最大の恩返しであると思う。これを機に、彼の後進になれるよう、今まで以上にガムシャラに働いていこうと思うのだ。

 

私が現職の部長から受けた恩は、まさに人生を変えてくれた大きな恩である。

今後、私はそれを心の石に刻み、一生忘れず、行動でその感謝を伝えていきたいと考えている。

 

「刻石流水」良い言葉だと思いませんか?

 

おしまい