一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

サラリーマンはノーリスクという最大のメリット

先日の記事では、サラリーマンとフリーランスを比較し、それぞれの立場に潜む見えにくいメリットやデメリットについて言及した。

フリーランスには経費を自由に使える柔軟さや、働き方を自分で決められる自由がある一方で、収入の不安定さや社会的信用の弱さといったリスクもある。

 

では、サラリーマンにとっての最大のメリットとは何か。今日はその点に焦点を当てたいと思う。

それを最も端的に示すエピソードが、田端信太郎氏がリクルート時代に立ち上げたフリーマガジン「R25」である。若手ビジネスパーソン向けに配布され、社会現象的な成功を収めたこのプロジェクトだが、もし失敗していたとしても基本的に田端氏がクビになることはなかった。

著書『ブランド人になれ!』で「サラリーマンこそ、ギャンブルし放題」「悪意をもって会社に損失を負わせたわけでない限り、それは自身の経験に変わる」と言っている。 

ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言 (NewsPicks Book)

このエピソードは、サラリーマンという立場が「挑戦しても生活基盤を失わない」という最大の強みを示している。

 

サラリーマンの安全圏

サラリーマンには「給与が保証され続ける」という圧倒的な安全圏がある。たとえ新規事業が頓挫しても、給料はゼロにならない。

対照的に、個人起業した場合は資金繰りに失敗すると借金や倒産リスクが即座に生活へ直結する。つまり、生活と挑戦が切断できない緊張感にさらされる。

一方でサラリーマンは、「勝っても負けても生活は続く」という安全な土壌を得ながら挑戦できるのである。

 

失敗しても得られるリターン

失敗しても、そこから得られるものは少なくない。まず実務経験である。企画を立ち上げ、遂行し、時には撤退する。そのプロセス自体が、次のキャリアでの実力を裏付ける事例になる。

さらに、社内外での人脈も深まる。新規事業には多様な関係者が関わり、そこでの折衝経験は評価となる。田端氏は、R25の創刊に際して「毎週クッソ揉めてたよ」、そしてその経験を通じて「揉めごとを怖がらなくなるだけで、サラリーマンとして大きく成長する」と語っている。挑戦した経験は、たとえ結果がどうであれ自分の成長につながる。

 

挑戦を避けたまま同じ仕事を続けていても、得られるものは何一つない。むしろ、挑戦しない方が数年後に取り返しのつかないキャリアの空白を残す。サラリーマンという立場で最も恐れるべきリスクは、失敗ではなく「挑戦しないこと」である。

 

ノーリスクゆえの逆説

ここに逆説がある。サラリーマンは挑戦を比較的安全にできるにもかかわらず、なぜ挑戦を避けるのか? 多くの場合、その理由は「失敗したときの評判が怖いから」だ。

たしかに周囲からの評価が一時的に下がることはあるだろう。しかし、その評判リスクは長く続くものではない。数年後には忘れ去られているか、むしろ「チャレンジした」という姿勢そのものが評価される場合もある。評判リスクを恐れるあまり挑戦を避けることで、自らの成長機会と市場価値を捨てているとも言える。

 

挑戦しない方がリスク

田端信太郎氏がリクルート時代にR25を立ち上げたエピソードは、サラリーマンという立場が持つ最大の強みを思い起こさせる。

「失敗しても給料が出る」「生活基盤は守られる」「挑戦の結果として残るものがある」という構図は、フリーランスにはないセーフティーネットである。

だからこそ、キャリア戦略においては「挑戦する」という選択を積極的に採るべきである。成功にこだわるのではなく、挑戦の過程で得られる経験や人脈の蓄積こそが、自らを次のステージに推し上げる鍵となる。結論として、サラリーマンの最大のメリットは “ノーリスクで挑戦できる自由” であり、挑戦をしない方が圧倒的に大きなリスクである。

私自身、ガンガン会社のリソースを使って、新しいチャレンジをしていきたいと考えている。

 

おしまい