通勤電車に乗っていると、どうしても避けられない雑音に出くわす。
子供の泣き声、酔っ払いの大声、隣の人の通話。こちらの気分が落ち着いている時ならまだいいが、疲れている時や集中したい時には、些細な音にイライラすることもある。朝から不快な気分になり、その日一日のスタートを台無しにされることさえある。
そんな時、ふと手元にある安物のワイヤレスイヤホンを耳に入れてみると、だいぶ静かに感じられた。
ちなみに、私が今使っているのは「aopiata」という超安物の中華ワイヤレスイヤホン。
Bluetooth 6.0対応、タッチ操作、充電ケース付きと、安いのに妙に豪華な仕様が売り文句になっている。
これを耳全代わりに使ってみても、思いのほか快適だった。カナル型で耳の穴をしっかり塞ぐため、それだけで外の雑音がぐっと遠ざかる感じだ。
子供の泣き声も酔っ払いの笑い声も、耳に届くボリュームがかなり下がる。完全に消えるわけではないが、「うるさい」と感じていた音が「気にならない程度」に変わるだけで、車内のストレスは大幅に軽減される。
普段のイヤホンをそのまま耳栓代わりにできるので、耳栓をわざわざ持ち歩く必要がない。荷物を増やさずに「静けさ」を手に入れられるのはありがたいことである。
静かに過ごしたいときは無音で装着するだけでいいし、それでも気になるときは音楽を小さく流してマスキングも可能だ。
ノイズキャンセリング機能は搭載されていないので、完全に無音の空間にはならないものの、この値段なら十分だと思う。高級なノイズキャンセリングイヤホンには及ばないものの、通勤中のストレスは確実に減る。静かな時間を得られることの価値を考えれば、千円以下の投資でこれだけ効果があるのは驚きだ。
もちろん、長く使えるかどうかは分からない。しかし、消耗品感覚で割り切って使い倒し、本当に必要であれば本格的なノイキャン機種へ移行すればいい。その橋渡しとして、この安いイヤホンは十分役立つ。
耳栓を買うよりも、イヤホンを耳栓代わりに使う方が自分には合っている。小さな工夫で日常の煩わしさが減るのなら、それは「賢い選択」だと思う。通勤電車での静けさを、思いがけず手に入れた、そんなささやかな気づきである。
おしまい
