一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

能力の再分配に凡人があやかれる時代

AIが起こした「能力の民主革命」

posfieでの深津貴之氏のつぶやきを読んで、思わず膝を打った。

posfie.com

少し長いが該当箇所を借用する(太字は筆者にて加工)。

今AIによって起きてることは、擬似的な「能力の民主革命」で、「能力的富裕層」の財産に順強制的に高い税金がかかり、「能力の再分配」が発生してる状態。
「富裕層の財産没収して富を再分配して格差是正しろ」の「能力」バージョン。お金じゃなくて能力に対して、超金融課税みたいのが擬似発生してる。
クリエイターが、この交通事故的な現象にどう対処すべきか、どう生存戦略をとるべきかは2年ぐらいずっと課題

「今AIによって起きていることは、擬似的な“能力の民主革命”である」。

うーむ。この言葉は、ChatGPT以降の時代を見事に言い表している。

AIは、知的な格差に“能力課税”をかけた。すなわち、これまで一部の頭のいい人だけが持っていた論理力や文章力、構想力、それらが今や、AIを通して誰でも使えるようになった。

凡人の頭脳でも、AIを使えば構造的な文章を書けるし、複雑な話も整理できる。

私自身、まさにその「能力の再分配」にあやかっている一人である。

 

知的格差への新たなる課税

人間社会には昔から「知の富裕層」と「知の貧困層」があった。

知の富裕層は教育や経験で“思考の利息”を稼ぎ、社会で優位に立ってきた。

だがAIの登場で、その利息に税金がかかった。

彼らが努力して得た知識や技術が、生成AI経由で誰でも手に入るようになったからだ。

 

たとえば、難しい資料作りや市場分析も、AIを使えば一瞬で形になる。

かつて専門職しかできなかったことが、いまは凡人にもできてしまう。

これはまさに、能力の再分配という名の新たな革命である。

 

「戦略コンサル」が消えない理由

ただし、AIがどれだけ賢くなっても、戦略コンサルや思想家の仕事はなくならないと思う。

それは、「何を言うか」より「誰が言うか」が価値になるからである。

深津氏は以下のようにも言っている(同じく太字は筆者が加工)。

ちな大学や周囲のクリエイターにオススメしてる防衛策は…
「なにがではなくて、誰がに価値が発生するするようにしろ」
「成果物ではなく、プロセスに価値が発生するようにしろ」
「モノでなく場を作る。場を作って物を展開する」
「原型や出典や元祖として刻まれる」
など、人的資本を社会資本に変換しつつ、人的資本依存率を減らす。

同じ提案でも、ChatGPTが言っても人は動かない。

だが、孫正義が言えば投資家が集まり、堀江貴文が言えばSNSがざわつく。同様に、マッキンゼーの提案資料は、きっと一味違った印象を与えるはずだ。

つまり、AIが知を再分配すればするほど、“権威”や“信頼”が残ると言える。

情報が安くなった分、誰が語るかが重要になる。

 

凡人の生存戦略は「場」と「文脈」

深津氏の提言は、まさにこの時代を生きるヒントである。

「なにがではなく、誰がに価値を発生させろ」

「成果物ではなくプロセスに価値を」

「モノでなく場を作れ」

AIが結果を量産する時代、人間が勝てるのは「過程」と「関係性」ということだ。

凡人でも、場を作ることや、自分の考えを発信することはできる。

ブログやX(旧Twitter)も、立派な“場”であろう。

AIをツールとして使いながら、自分なりの文脈を築くこと。

それがこの時代の凡人の武器である。

 

凡人が報われる時代

AIがもたらしたのは、天才を倒す革命ではなく、凡人を底上げする変化だ。

「頭の良さ」を持たなくても、ツールを通じて“頭の良さを借りられる”世界になった。

 

つまり、これから大事なのは、

どれだけ知っているか ではなく、
どう使うか、どう動くか である。

AIは、考える力の代わりではなく、考える力を与えてくれる外部装置だ。

能力の再分配によって、凡人にも光が当たる時代になった。

その光をどう使うかは、結局、自分次第である。

 

おしまい