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【成功へのメモ】『マッキンゼー式 世界最強の仕事術』

成功本まとめシリーズ。

マッキンゼー式 世界最強の仕事術

マッキンゼー式 世界最強の仕事術

 

著者

イーサン・M・ラジエル

1989年にマッキンゼー&カンパニー、ニューヨーク支社に入社、1992年まで勤務。この間に、金融、電気通信、コンピューター、消費財などの業界の大企業をクライアントとして担当。のちに、投資銀行家、株式ファンド・マネジャーとして活躍。プリンストン大学から学士号、ウォートンから経営学修士号をそれぞれ取得。

要約

本書は、マッキンゼーコンサルタントのノウハウを、多角的な視点から解説した実践的なガイドブックである。

単なる抽象的なビジネス理論ではなく、具体的なアプローチ、チームの編成、リサーチ、プレゼンテーション、そしてコンサルタントとしての心構えまで、マッキンゼーの仕事の全容を網羅的に捉えている。

特に印象的なのは、「はじめに」にもあるように、読者が関心のある章から自由に読み始められる「サンプル帳」のような構成だ。これは、多忙なビジネスパーソンが、必要なときに必要な情報を効率よく得られるようにという、著者たちの配慮の表れと思われる。

問題解決の思考法「MECE」や「ロジックツリー」といったおなじみの概念から、クライアントとの関係構築、社内コミュニケーションの秘訣、さらには出張生活の乗り越え方といった、実務に即した具体的なアドバイスが満載されている。まさに、マッキンゼーの思考と行動の「型」を学ぶための教科書だ。

ポイント

本書の核心は、問題解決を「事実」「仮説」「構造化」によって推進する方法論にある。例えば、MECEに基づく分解や80対20の法則は、今日でもビジネスの基本として語られる。エレベーターテストのように短時間で本質を伝える技術、チャート作成による可視化の徹底も重要である。加えて「低い枝の実を採る」という、早期に成果を提示して信頼を得る姿勢は実務的だ。

注目すべきは、これらが25年前の知見であるにもかかわらず、現在のビジネス現場でも違和感なく適用できる点である。むしろ、情報過多と複雑化が進んだ2025年においては、シンプルで普遍的な思考法の価値が増している。表層的なツールや流行の手法ではなく、論理と思考の基盤を鍛えることこそが普遍の力となると示している。

誰に読んでほしいか

本書は、特定の業界や職種に限定されることなく、「より効率的に、より高い質で仕事をしたい」と考えるすべての人に読んでほしい。特に、以下のようなタイプの人々には、大きな価値があるだろう。

コンサルタントを目指す人、あるいは駆け出しのコンサルタントマッキンゼーの仕事の進め方や思考法を体系的に学ぶための、これ以上ない良書だ。

• 企画・マーケティング・新規事業開発などに携わる人:複雑な問題を解きほぐし、論理的な解決策を導き出すためのフレームワークが手に入る。

• マネージャーやリーダーの立場にある人:チームを率いる上で不可欠な、プロジェクト管理やコミュニケーションのノウハウが凝縮されている。

• 論理的な思考力を高めたいビジネスパーソン:「ロジカルシンキング」という言葉が一般化するはるか前から、その本質がここに詰まっている。

情報過多な現代において、本書の「事実」に基づき「仮説」を立てるというプロセスは、SNSやニュースに振り回されず、本質を見抜くための強力な武器となるはずだ。

まとめ

マッキンゼー式 世界最強の仕事術』は、1999年に刊行されたコンサルティング実務の古典であり、今日でも通用する普遍的な問題解決の指針を与えてくれる。

仮説思考やMECE、80対20といったフレームワークはもはや常識となったが、それらを体系的に実務に落とし込むプロセスを知ることに価値がある。最新トレンドやAIのような要素は含まれないが、むしろ情報が過剰にあふれる現代だからこそ、この本が説く「事実に基づく」「シンプルに構造化する」姿勢が光る。

四半世紀を経た今読めば、過酷な労働観やアナログな作業感に時代の違いを感じる部分もあるが、それを差し引いても本書は実務家にとって学びの多い書物である。基礎を再確認し、自らの仕事術を鍛え直す契機となるだろう。

 

ビジネス書は、全文を一度読むより、たった一つのポイントでも毎日読み返して自分の血肉にすることが大事。響いた点があればあなたの読書メモにも蓄積を。

 

おしまい