成功本まとめシリーズ。
著者
タル・ベン・シャハー
著者は、ハーバード大学で心理学の博士号を取得し、同大学でポジティブ心理学を教えていた元講師である。彼の授業「ポジティブ心理学」は履修者数が1000人を超え、当時のハーバード大学でも最大級の人気を誇った講座として知られる。学生たちから絶大な支持を得て、「人生を変える授業」と称されたことが本書のタイトルにもつながっている。
著者の専門分野は、科学的根拠に基づいた幸福の研究である。単なる精神論ではなく、心理学の実証的なデータを基にした実践的な方法論を提唱している点が特徴的だ。学問の厳密さを保ちながらも、日常生活に応用できる形に落とし込む能力に長けており、多くの読者から支持を得ている。
要約
本書は52の章からなる実践的な自己成長ガイドである。各章は「感謝する」「習慣化する」「運動をする」といった具体的なテーマを扱い、理論の説明だけでなく実際に行動できるワークが用意されている。
注目すべきは「ポジティブ心理学」の理論基盤で、これは従来の心理学が病気や問題に焦点を当てるのに対し、人間の強みや幸福に注目する新しいアプローチである。各ワークには質問や課題が設けられ、読者は自分の経験を振り返りながら成長していける構成となっている。
ポイント
・感謝する
「毎日、感謝したことを5つ書き出す」ことを勧めている。これは単純だが、繰り返すことで心の焦点が不足ではなく充足に向かい、気分が安定しやすくなる。
・運動する
「週に3回、30分の運動をする」ことを推奨しており、幸福度と身体活動の強い相関をデータに基づいて示している。
・完璧主義を手放す
「最善主義」を提案し、「80%の完成度でよしとする」実践法を紹介する。
さらに「ありがとうを言う」「失敗から学ぶ」といった章は、人間関係や仕事上の葛藤を前向きに捉える訓練となる。いずれの提案も難解な理論ではなく、すぐに取り組める行動として提示されている点が特徴だ。著者が強調するのは「小さな行動の積み重ねが、幸福の基盤をつくる」という一点である。
誰に読んでほしいか
本書は幅広い読者層に開かれているが、特にビジネスパーソンに有益である。キャリアの中間地点で将来に不安を抱える会社員、部下のモチベーション向上に悩む管理職、起業や転職を考える人にとって大きなヒントとなるだろう。
また、自己啓発書を読んでも三日坊主で終わりがちな人にも適している。理論と実践のバランスが良く、具体的な行動指針が示されているため継続しやすいからだ。
さらに、子育て中の親や教育関係者にとっても有益であり、子どもや生徒との関わり方を見直す視点を提供してくれる。
要するに、人間関係やワークライフバランスに課題を感じている現代人すべてに読んでもらいたい一冊である。
まとめ
本書は、ポジティブ心理学の理論を日常生活に活かすための実践的ガイドブックである。52という豊富なテーマにより、読者は自分の課題に応じて必要な部分から学べる。「リフラクション」という独自の学習法により、読者は行動変容を体験でき、単なる知識の蓄積ではなく、実際の人生を豊かにする「生産的知識」を身につけられる点が本書の価値である。忙しい現代人が限られた時間で成果を得るための、実用性のある「人生改善マニュアル」として推薦する。
ビジネス書は、全文を一度読むより、たった一つのポイントでも毎日読み返して自分の血肉にすることが大事。響いた点があればあなたの読書メモにも蓄積を。
おしまい
