
最近、取引先・法務・上司の三者に挟まれ、まったく身動きが取れない案件に直面している。
こちらの意図や理屈は通じにくく、誰かが納得すれば別の誰かが不満を漏らす。調整すればするほど、日々ストレスは増していく。
だが、冷静に考えてみると、これは最高の学びの場でもあるのではないかと思い始めている。
職場は生きたビジネススクール
たとえば、ビジネススクールで扱われるケーススタディは、基本的に誰かが過去に経験した案件を題材にしている。もしくは、誰かが考えた一般的・教科書的な事例が多いのではないか。
そこには模範解答が用意されており、教授やテキストが一定の方向性を示してくれる。もちろん知識の整理には役立つが、そこに生々しい利害や感情は存在しない。
一方で、職場で直面する問題にはマニュアルも正解もない。まさに現在進行形で動いており、自分が当事者として結論を導き出さねばならない。
関係者の表情や語気、組織間の力学など、書籍には載っていない変数もたくさんある。
トラブルこそ実践の場
今回の案件もそうだが、理論通りにいかないからこそ学びがあると思う。
交渉術の本に出てくるテクニックを試してみても、相手の立場や気分次第で響くかどうかは変わる。法務的な理屈が正しくても、取引先が納得しなければ意味がない。上司の顔色をうかがいながらも、腹を括って提案しなければならない瞬間もある。
トラブル解決のプロセスを通じて自分の交渉力・判断力・胆力は着実に磨かれていく。机上の勉強では決して得られない訓練機会こそが、職場の醍醐味である。
理論と実務の往復
もっとも、現場の経験だけでは学びが断片的になる。だからこそ、理論の補強が重要だ。
問題解決をテーマにしたビジネス書を読み、フレームワークや考え方を頭に入れる。次に直面するトラブルで、それを実際に使ってみる。すると、理論のどこが有効で、どこが現実離れしているかが鮮明になる。
この「理論と実務の往復」が、自分を強化してくれる。ビジネススクールで講義と演習を受けるのと同じ構造だが、こちらはリアルタイムで給料までもらえている。
給料をもらいながら通うビジネススクール
学費を払って過去のケースを学ぶか、給料をもらいながら現在進行形の問題に挑むか。そう考えると、職場こそが最も実践的なビジネススクールである。
もちろん、日々のトラブルは疲れるし、精神的に削られる瞬間もある。しかし、それらを「授業料込みの経験」だと捉えれば、耐えるだけではなく吸収する姿勢に変わる。苦しい経験も、将来必ず役立つ知識と経験になる。
まとめ
いま直面している問題は厄介だが、最大の学びの機会だとポジティブに向き合おう。
職場は一番のビジネススクールであり、日々のトラブルは授業であり、自分の成長の糧だと考えれば、ストレスさえも自己投資の一部になる。
結局のところ、目の前の問題をどう捉えるかが、成長の分岐点になるだろう。
おしまい