一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

AIが進化するほど、人間の仕事は「判断」に収束する。

 

近日発売予定の三浦慶介氏『AI時代に仕事と呼べるもの』のAmazonページに書かれていた、「AI時代にも残る人間の仕事」の3分類がとても示唆的だった。

AI時代に仕事と呼べるもの: 「あなただけ」の価値を生み出し続ける働き方

その3分類とはすなわち、

① 「経験知」を積み上げる仕事
② 「決断」して責任をもつ仕事
③ 「レビュー」で質を担保する仕事

とのことだ。

 

共通点は明確である。

いずれも人間の「判断」が介在する領域だということだ。

AIは、膨大な情報から最適に近い答え(=平均的な正解)を生成することは得意だ。

しかし、「何を目的とし、どこに線を引くか」という 価値判断は、状況・責任・覚悟等の要素が複雑に絡むため、AIだけでは完結しない。


① 経験知を積み上げる仕事

これは簡単に言うと、「現場を見て、何が大事かを判断する力」である。

例えば、同じようにクライアントへ提案に行くとしても、

  • 何に不安を感じているか

  • 決定権を持っているのは誰か

  • 相手が本当に求めているゴールは何か

こういうものは、会社ごとに全部違う。

最初は全くわからないが、何回も現場で話したり、失敗したりしているうちに、「あ、今日はこの話じゃないな」みたいな空気がわかるようになってくる。

AIは資料を作ったり、過去の事例を参照するのは得意だ。

でも、「この場で何を言うべきか」という温度までは読み取れない。

だから、現場で積む経験知は、まだ人間にしかできない仕事なのである。


② 決断し、責任を持つ仕事

不確実な状況でどこに賭けるかを決める。

たとえば、取引先との契約更新で条件がきつくなったとする。

  • このまま続けるのか

  • もう手を引くのか

  • 続けるなら、どこまで譲歩するのか

数字や資料だけ見れば答えが出そうに見えるが、実際はそうはいかない。

そこには、

  • これまでの関係

  • 今後の展開

  • 自分が責任を負える範囲

といった人間的な要素が絡んでいる。

AIはメリット・デメリットを出すことはできるが、「その結果に自分が耐えられるか」まで判断できない。

決断とは、「自分がこれを引き受ける」と覚悟すること。

その腹づもりは、AIにはできない。


③ レビューする仕事

これは、「この成果物で本当にゴールを達成できるか?」をチェックする仕事である。

たとえば、若手が作った提案資料があるとする。内容も丁寧で、論理も通っている。

でも、「いや、これだと相手は動かないな」と感じることがある。

理由はシンプルで、相手が求めるポイントとズレているから。

このズレは、

  • 過去の提案

  • 成功と失敗の感覚

  • 交渉時の摩擦

などの積み重ねから、身体でわかるようになる。

こういう「通るか・通らないか」を見極める目は、
マニュアルにもAIの出力にも載らない。

だから、レビューは人間の仕事として残り続ける


■ 共通する本質

3つとも、単なる「判断」ではなく、

状況を読み、意味づけし、自分の中に基準をつくること

に関係している。

AIは「答え」は返せるが、基準は人間がつくるものだ。

この視点は、これからの働き方を考える上で、とても重要だと感じた。

AIが仕事を置き換える、という話はもはや当たり前になっている。

しかし、多くの議論は「消える仕事」と「残る仕事」のリストアップで終わりがちだ。

本当に必要なのは、

  • なぜその仕事が残るのか

  • その本質は何か

  • 自分はどこに軸足を置いて成長すべきか

言語化して理解することである。

三浦氏の提示するこの3分類は、その問いに対して、シンプルかつ本質的なフレームになっている。

発売されたら、手に取るつもりだ。

読む前から、ワクワク感を与えてくれた一冊である。

 

おしまい