一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

「ああ、楽しかった」とだけ言って家に帰ろう

最近、とても良い言葉に巡り合った。

たまたまNHKで追悼の記事が出ていて知ったのだが、佐々涼子さんというノンフィクション作家の本の一節であった。

その彼女は悪性の脳腫瘍(グリオーマ)で本日9月2日に亡くなられたという。

www3.nhk.or.jp

 

私は彼女の名前もその記事で初めて知ったのだが、これまで7冊の本を出版していて、そのうち『夜明けを待つ』というエッセイ・ルポルタージュの作品集(最後の著書)があり、その「あとがき」にこどもホスピスを訪問した際に聞いた代表理事の言葉を次のように引用している。

 

「寿命の短いこどもは、大人よりはるかに、何が起きているか、ものごとがわかっています。だから、『もっとやりたい』とか、『つぎはいつ遊ぶ?』と、わがままを言ったりしないんです。ただ、その日、その瞬間のことを『ああ、楽しかった』とだけ言って別れるのです」
「ああ、楽しかった」と……。

 

次に遊ぶ約束などせず「ああ、楽しかった」と満足してその日を終える。

なんと素晴らしい心の持ち方なのだろうと思った。重い病で、たった3年とか5年しか生きられず、それでも残された日々を精一杯全力で楽しんでいる子どもたちに尊敬の念を覚えずにはいられなかった。

 

思うに、人生100年時代と言われ、おそらく不慮の事故や大病をしない限り、あと4〜50年は人生が続くだろうと勝手に思ってしまいがちなのだが、人生は長いように思えて短いものだ。

自分自身、ついこの前大学を卒業したばかりのような気がするのだが、あれから15年以上が経ち、いつの間にかアラフォーのいいおっさんになっている。

何も考えずにボケっと過ごしていたらすぐに老人になってしまうだろう。

 

いや、むしろこの子どもたちや佐々さん本人のように、重たい病で突然あと幾ばくも生きられないというようなことになるとも限らない。全然ありうることだろう。

そんな時に、不満を残して死ぬようなことにはなりたくない。

毎晩家に帰る時、夜寝る前に「ああ、楽しかった」と呟けるような日々にしよう。

 

あと、一緒に過ごしてくれた人に対して「ああ、楽しかった。ありがとう」と言えれば、言われた側もとても気持ちよくその日を終えられると思うのですね。

ごちゃごちゃ難しい言葉を語らず、このシンプルな「楽しかった」という気持ちを大事にしていきたい。

 

おしまい