私が転職を決意するにあたり、かなり大きな影響を受けたのがmotoさんという方が書いた『転職と副業のかけ算』という本だ。
本書で提唱される「軸ずらし転職」という方法を意識して求人を検索していった。
転職活動を進めていくとよくわかるのだが、年収というのは「職種×業界」で大枠が決まっている。企業規模や役職よりも、業界・職種のほうが年収に大きな影響をもたらしているため、転職で年収を上げるには「業界」か「職種」のどちらかの軸を「年収の高い業界」または「年収の高い職種」にずらすのが近道になるのだ。
年収レンジの高い業界は、基本的に「動くお金が大きく、かつ利益率が高い」業界が該当し、商社・コンサル、金融、通信、広告などが挙げられている。特に、業界は年収に大きく影響するので、業界を変える軸ずらしを推奨されており、私も実際に「法人営業」という軸で転職活動をし、実際に業界をずらすことに成功したのである。
転職市場では、「上司の評価」や「社内の評価」ではなく、転職市場における「市場価値」で比較されることになるので、日頃からそのことを意識して振る舞うことが重要だ。
また、転職市場では、直近の経歴が評価されるウエイトが大きいので、ひたすら人事異動を避けるように工作活動をやってきた。実際、私の勤務先では、長年所属していた中小向け法人営業部隊は、社内のヒエラルキー的には最下層と言ってもいいのだが、それでも「上を目指すためにそろそろ異動を」という周囲の勧めをひたすら断ってきたのは、転職を視野にいれた長期的視点を持っていたからだ。
しかし、転職エージェントに相談しても、最初に言われたのは、同業同職種への転職だった。おそらく、一番売り込みやすく、手数料が稼ぎやすいからだと思われる。
そこを私の場合は、しつこく「他業種で」と言い続けたので、決まるまで50社近く応募する羽目になったのだが、そこを嫌な顔をせずにひたすら書類を作成してくれたエージェントの方には本当に感謝している。転職エージェントはかなりガチャ要素が強いと思う。大手のエージェントに複数登録して、自分に一番波長が合いそうな人を使い倒すというやり方が個人的には良いと思った。
具体的な求人で言うと、法人営業の中でも初期配属時のみでなく、原則本人の希望しない人事異動なし(=ずっと法人営業)という求人に絞って応募した。
現職のJTCは転勤ありのメンバーシップ型のため、転勤手当的なものも潜在給与に含まれていたので、かなり高額の給与が支給されており、ジョブ型の求人で年収維持のものを探すのはけっこう難航したものの、たまたまご縁があった企業があり、年収維持での転職に成功したのである。こういう意味でも、応募しまくることは大切である。
次の勤務先でも、ひたすら法人営業としてのキャリアを積んでいき、そこで役職をつけてさらなる年収アップを目指してもいいし、自分に合わなそうであれば、数年働いて実績・経験を積んでから他業種に転職してもいいと思っている。
ポイントは職種を絞るジョブ型転職に拘ることで、予想外のキャリア(想定外の玉突き人事など)を避け、人生設計を描きやすくすることである。これからは転職が当たり前の時代になるが、その点を意識したキャリアプラン構築をオススメしたい。
おしまい