一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

「やりたいこと」がないとダメな風潮

「やりたいことは今すぐやれ!」

SNS上のインフルエンサーはよく僕らにこのように語りかけてくる。

 

そして、僕にしても、この歳になって未だに会社の役員とか上司から「やりたいこと」は何か?と聞かれることがある。

しかし、自分のような一介のサラリーマンで、この問いに答えられる人は数パーセントしかいないのではないかと思う。少なくとも僕の周りには一人もいない。

多分、そんな問いを発してくる役員も上司も、本心からやりたいことなどないのではないかと僕は思っている。

 

それはなぜか?

本当にやりたいことがあれば、サラリーマン(※)などやっているはずがないから。

※僕の勤め先は昔ながらの日系企業で、昭和型の終身雇用・年功序列が色濃く残っており、ここではそうしたサラリーマンをイメージしてほしい

 

いかに興味のある業界に入れたとしても、サラリーマンとして組織の最下層からスタートとして、最短でも20年かけてなれるかわからない部長を目指す、そんな人生を好き好んで選択するような人はいないはずだ。

もし、人生をかけてやりたいことがあるなら、少なくともダラダラとサラリーマンとして働くという道は選ばないだろう。

大半の人は、よくわからないけれど、自分が内定をもらえた会社の中で、一番待遇とか職場環境等を総合的に考慮して良さそうという理由で選んだのではないかと思う。

 

で、サラリーマンは、「好きなこと・やりたいこと」と「得意なこと・他者貢献できること」を、明確に分けて考えた方がいいと思う。

三度の飯よりカラオケが好きな人がいたとしよう。その人がいくら歌うのが好きだからと言って、明日武道館で1万人の前でコンサートをやって観客を満足させろと言われたってまず無理な話だ。

でもその人は、まったく好きでない経理の才能は抜群だとしたら、そちらではいくらでも働き口はあるはずだ。

だから、「好きなこと・やりたいこと」で金を稼ごうとせず、仕事は「得意なこと・他者貢献できること」という視点ベースで考えていけばよいと思う。

だから、やりたいことなどなくても全然問題ないのだ。

そして、たとえ今学生で自分が得意なことがわからなくても、サラリーマンを何年かやっているうちに、営業系が向いているか事務系が向いているかくらいの方向性は見えてくるはずだ。

 

なぜか、会社では「やりたいことはない」がNGワードになっているが、僕は人事面談でいつも、

・やりたいことは特にない
・やりたいことと得意なこと(できること)は違う
・後者の方が会社への貢献度が高い
・だから、まずは今の部署(営業)でより上のポジションを目指していきたい
・もし、異動するなら今までやってきたスキルと経験を活かせる部署希望

このように整理して話している。

 

やりたいことは何かという質問には答えられていないのだが、意外と怒られず、むしろ「なるほどね」と言われるのだ。

やっぱり、サラリーマンの多くは本心からやりたいことなんてないんだろうね。

ぜひ、サラリーマンの方で、仕事はあくまで生活の手段と考えている方は、あまり会社の中で積極的にやりたいことも見つからないと思うので、「今までやってきた経験を活かせる部署に行くことが組織貢献になる」というロジックで上司と対話をしてみてください。

 

おしまい