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【書評】2040年「仕事とキャリア」年表(植田統)

少し気が早いが、最近は、転職後も含めたキャリアについて未来像を描いている。

 

2040年「仕事とキャリア」年表

★★★☆☆

2040年 「仕事とキャリア」年表――日本の「雇用制度」は崩壊した

「今から20年後には、日本から「サラリーマン」が消滅します。」との文で始まる本書。新卒一括採用・年功序列・終身雇用・定年退職制度など、日本の「雇用制度」は既に限界と言い、今後訪れる未来予測を年表形式で紹介してくれる。

 

■目次
1章 ついに日本でも始まるアメリカの「ジョブ型雇用」とは?
   将来の日本でも、社員は「3つの階級」に分けられる
   ジョブ型雇用では、社員はどう採用される?
   ほか
2章 日本の「雇用制度」はすでに崩壊している!?
   日本は、仕事もキャリアも「ガラパゴス化」している
   日本で「スペシャリストが育たない」のは、なぜ?
   ほか
3章 激動の20年を大胆予測!未来の「仕事とキャリア」年表
   2023年 学生の就職先ランキングを「外資系企業」が独占
   2025年 「大リストラ時代」の幕開け。「70歳現役時代」の到来
   ほか
4章 将来、「仕事とキャリアに困らない」ための準備
   まずは、自分のキャリア・ビジョンを描く
   仕事とキャリアの「相談相手」を最低2人見つける
   ほか

 

著者の植田統(うえだおさむ)氏は国際経営コンサルタント・弁護士・名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授という豪華な肩書。

1957年生まれで、東京大学法学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)に入行、ダートマス大学エイモスタックスクールにてMBA取得。その後、外資コンサルティング会社を経て、外資系データベース会社代表取締役社長、傍らで大学ロースクール夜間コースに通い司法試験合格。その後、外資系企業再生コンサルティング会社でJALライブドアの再生に携わり、2010年弁護士開業というそれはそれはすごい経歴である。

逆に、東大卒のコンサル系会社でしか再現性がないのでは・・? と割引ながら読む必要はあると思う。

 

全体的には仰る通りの内容で、メンバーシップ型→ジョブ型の流れが進む中で、転職が当たり前の世の中になっていくという論調。

一方で、著者が言うほど学歴・MBAが重視されるとは思えないし(逆に重視されなくなる方向になると思っている)、未来予測と言いながら、今流行りの「生成AI」「ChatGPT」については何ら触れられておらず、2023年7月に読むには少し物足りない内容(2022年1月発売なので致し方ないけど)。

 

とはいえ、自分株式会社という発想はわかりやすい例えでいい。自分を一つの会社として考えて、勤務先はあくまで取引先と考える思考。

誰もが「自分株式会社」を立ち上げ、自分に投資し、スキルを身に着け、自分マーケティング戦略を考えて、自分を商品として高く売ることを真剣に考えていく時代となるのです。

 

そのほか、気になったフレーズを引用しておく。

 

一生の間に何度も転職するのが当たり前なのですから、つねにネクストジョブを意識するのは当然のことです。新しい会社に入社しても、転職エージェントとのコンタクトは継続し、いつでも転職できるようにしています。

「常に転職できる準備をしておく」というやつですね。もし、いまの転職活動が終わったとしても、エージェントの方を気に入っているので、私も登録はし続けようと思います。

 

日本社会のサラリーマンはヒツジになることを求められますが、外資系の世界、つまり未来の日本の世界では、オオカミになることを求められるのです。

JTC勤務の人間も、根回しとか社内政治ばかりやっているのではなく、ひたすら自分の能力を磨くことに集中するというマインドセットに切り替えておかないとダメですね。まあ、干されてしまうからなかなか難しいところなんだけど。

 

今後のキャリアを考えるにあたり、似たような本をいくつか読んでいこうと思う。前提として、やっぱり、これからの未来は生成AIなしには語れないので、最新の本を読まないとダメだね。

 

おしまい