転職活動も佳境に入りつつあるが、今日は少し前に読了した転職本をご紹介。
転職の最終兵器 未来を変える転職のための21のヒント
★★★★☆
本書は、架空のJTC「ポパイ電工株式会社」を舞台に、松村ヒカルくんという新卒入社5年目の社員が、周りのメンバーに助けられながら、転職活動で直面する悩みとその乗り越え方を物語形式で体験できる一冊になっている。
目次
第1章 この会社、ヤバすぎる(「転職」を知る者たち;「圧倒的成長」は、どこへ? ほか)
第2章 はじめての転職活動での失敗(転職相談の落とし穴;「天職」や「適職」という嘘 ほか)
第3章 転職は、あの日の恋のように(「転職の軸」の見つけ方;「飲みニケーション」の悪夢 ほか)
第4章 転職活動の「最終兵器」(混沌と破壊と別れ;雨の日の再会 ほか)
第5章 闇を切り裂くツバサを、君に(ドス黒い「ホワイト企業」;ファイナル・ラウンド ほか)
怪しい転職エージェントが出てきたり、ハラスメントをしてくる同僚が出てきたりと、大昔にレビューを書いた『転職の思考法』にどこか描かれるストーリーは似ているが、JTCの単純作業・調整業務・社内政治などについて痛烈に皮肉を書いていて、「めちゃくちゃわかる!」と笑いながら読めた。
なお、著者の安斎さんは1987年生まれで、日系大手メーカー海外営業部、外資系メーカー日本法人立ち上げなどを経て、2020年より外資系大手IT企業の事業企画担当シニアマネージャーをされている方。自身の過去の転職経験をもとに、「転職とキャリア」をテーマに、書籍、ブログ、Twitter(@AnzaiKyo1) などで情報発信を続けている。noteでの情報発信を盛んにされているようです。
いくつかポイントを抜粋。
結局、入社後に毎日一緒に働くことになるのは、直属の上司である一次面接の面接官だから、その人から『この実績と経験なら、十分に仕事を任せられるし、きっと会社に貢献できる』という高評価を得ることが、中途採用では最も重要なの。
これは新卒採用と大きなポイントで、実際に入社後に上司になる人物と1時間近く話せるという点が、中途採用の大きなメリットだと思う。そこで相性も確かめられるし、逆質問の時間で気になっていることも確認ができる。
複数の会社を同時に受けずに、1社だけに集中して、その会社のことだけをひたすら考え続けるのが理想だね。何社も同じタイミングで受けていると、面接準備のための時間が分散して、結局、対策が甘くなってしまう。そのくらい毎日毎日その業界のこと、その商材のことを考え続けると、『業界の人と同じ目線』に立てるようになる。
私も思いのほか書類選考が通ってしまい5社、6社とスケジュール調整をしないといけない局面があった。しっかり準備してから臨みたい性格なので、この点は大賛成。仕事をしている時間以外はすべてその会社のことを調べる時間に充てるくらいやるのが理想。
「面接に呼ばれることが決まった後、あえて、数日後とか直近の日にしないで、1~2週間後くらいに面接の日程を設定して、下調べをするための準備時間を作るのも、時には有効だよ。あまり先延ばしにするのもよくないけれど、準備不足で面接に臨んでも、どうせ通過することはできないからね」というのも、安斎さんのアドバイスだった。
私が担当してくれている転職エージェントには、あまり先延ばしにすると企業からの心象が悪くなると言われているが、個人的には、しっかり対策をせずに面接に臨むほうがよっぽど心象が悪くなると思うし、そもそも面接してもらう相手に失礼だ。
本書の後半で出てくる、内定を勝ち取る「最終兵器」については実際に読んでみて確かめてほしい。個人的には「なるほど!」と膝を打つ内容であった。
転職初心者には『転職の思考法』とあわせて本書をまず読み、流れをつかむといいだろう。
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おしまい