今日もオススメの転職本をご紹介。
このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法
本書は昨年6月の発売以降、ベストセラーになっている転職本。本書は特別な専門性も経験もない30歳のサラリーマン青野が、日本の人材会社・転職エージェントに強い嫌悪感を抱いている敏腕キャリアコンサルタント黒岩と出会い、「一生食べていくための方法論(=転職の思考法)」を教わっていくというストーリー。主人公の青野の行動を追うことで実際の転職に必要な知識をすべて習得できるようになっている。以前ご紹介した『「いつでも転職できる」を武器にする』とまさに根本思想は同じで、「いつでも転職できる状態を作ること」が精神的な自由につながるという考えが価値観のベースに置かれている。
<目次>
1章 仕事の「寿命」が切れる前に伸びる市場に身を晒せ
2章 「転職は悪」は努力を放棄した者の言い訳にすぎない
3章 あなたがいなくても会社は確実に回る
4章 仕事はいつから「楽しくないもの」になったのだろうか?
本書では、
・自分のマーケットバリューを測るための9つの質問
・マーケットバリューの高め方
・伸びるマーケットを見つける2つの方法
・会社選びの3つの基準
・いいベンチャーを見極める3つのポイント
・いいエージェントの5箇条
などなど、転職活動において実践的で役立つ知識が盛りだくさんである。転職を考えているが、なかなか最初の一歩を踏み出せない人にとって、転職の理論と実践方法を同時に学べる本書は必携の一冊といえる。そして、最後に「ノートまとめ」という形で本書の要点がすべてまとめられていて再確認できるありがたい構成になっている。
それでは、本書で印象に残ったセリフをいくつかご紹介。
転職を考えることは、働き方だけではなく、生き方にも影響を与える。結局、仕事でダメな上司に付き合わないといけないのも、価値のない商品を嫌々営業しないといけないのも、予期せぬ異動に振り回されるのも、「いつでも転職できる」と確信できるだけの市場価値がないから。
「はじめに」より。本書の価値観の真髄ですね。
もしこの世の中に、会社が潰れても生きていける大人と、生きていけない大人の2種類がいるとしたら、両者を分けるのは何か。それは、『上司を見て生きるか、マーケットを見て生きるか』。
マーケットを見て生きることで、はじめて自身の「マーケットバリュー」を意識したキャリアを描けるようになります。大切なことは、給料は会社に言われたことをやっているから発生しているのではなく、『自分』という商品を会社に売り、会社がそれを買うから発生しているという意識です。
転職エージェントで紹介される案件だけで転職先を絞ってはいけない。なぜなら、そこには本当に魅力的な求人が乗っていないことがあるから。もしも、自分が働きたい会社が明確であれば、様々な手段で仕事を探すべき。SNSのサービスや、直接応募、自分で求人を検索するという行為を絶対に忘れてはいけない。
企業が転職エージェントを使うのは、「離職率が異常に高い」「社員が知人を呼び込む形での採用ができていない」などの理由であることもある。また、成功報酬型の転職エージェントが強く勧める会社は、単に採用基準が低い会社に過ぎないこともある。だから、転職エージェントから紹介される案件だけで転職先を絞るのではなく、行きたい会社がある程度決まっているのなら、様々なチャネルを自ら当たるべきだという。
好きなことがあるということは素晴らしいことだが、ないからといって悲観する必要はまったくない。なぜなら、『ある程度やりたいこと』は必ず見つかるから。そして、ほとんどの人が該当するbeing型の人間はそれでいい。
これは目からウロコ。人間には「何をするか」に重きをおくto do型の人間と、「どんな人間でありたいか、どんな状態でありたいか」を重視するbeing型の人間がいる。99%の人間はbeing型だから「心からやりたいこと」がなくても悲観する必要はない。ポイントは『得意なこと』を『好きなこと』に近づけることで、他の人から上手と言われるが、自分ではピンとこないものを探したり、普段の仕事の中でまったくストレスを感じないことから探す方法がある。
著者の北野唯我氏は1987年生まれ。就職氷河期に博報堂へ入社し、経営企画局・経理財務局で勤務。その後、ボストンコンサルティンググループを経て、2016年ハイクラス層を対象にした人材ポータルサイトを運営するワンキャリアに参画、経営企画担当の執行役員という経歴。20代で2回転職をしていて、どちらも年収が半分以下になるという経験をされており、当時の経験が本書にも生きている模様。
転職に必要なのは知識でも情報でもなく、どう選べばいいかの判断基準=『思考法』という著者。本書には20代から50代までのビジネスパーソンが、仕事で食べていく上で必要なキャリアの考え方がすべて詰まっている。とりわけ著者と同年代の20代後半〜30代前半の読者には特に共感できるポイントが多いように思います。超オススメの一冊!
このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法
おしまい