「お前、会社は常に年収の1.5倍はお前に金払ってるから、その前提で働かないとダメだぞ」
昔、会社の先輩からこのように言われてから、この言葉を営業として大事にしている。
たしかに、給料明細をしっかり見ない人間にとっては、税引後の手取りばかりが気になるだろうし、仮に見る人間でも、税引前の金額にしか目が行かない人がほとんどだろう。
しかしながら、会社がわれわれ労働者に支払ってくれているのは給与・賞与だけでなく、社会保険料(労使折半)・交通費・福利厚生費(家賃補助等)・退職金(積立)・研修費なども負担してくれている。
さらに、採用時にイニシャルコストとして1人あたり100万かかるとも言われているし、パソコン・業務用スマホなどの備品代や、オフィスの賃料なども会社負担である。
この先輩は決して社畜的な人ではなく、非常に会社に対して批判的な言動が多い人だったが、「自分がもらっている分以上は必ず会社に還元すべし」というストイックな考えを持つ人だった(結局、私より先に某総合コンサルティングファームへ転職していってしまった)。
たしかに、個人事業主として働くとしたら、事務所の経費は自己負担、パソコン・スマホも自己負担、交通費も自己負担、社会保険料も全額自己負担と考えると、サラリーマンが気づかぬうちに会社に与えてもらっている恩恵というのは非常に大きい。
まあ、個人事業主は経費面でいろいろ操作できるらしいので、一概には言えないものの、この事実はしっかりと抑えて働くべきだろう。
「労働者は搾取されている」という主張にも一理あるが、それを言っていいのは、それ以上利益を出している人間にのみ許されると言える。
私は現職でも一時期企画部門にいたので、各商材を販売するごとの粗利は大体わかるので、逆算して最低でも自分の年収の2倍は粗利を出すよう、与えられた売上目標とは別に裏の売上ラインを設定していた。
たとえば、年収が1000万円なら、粗利は2000万円必要。販売している商材の平均的な粗利率が20%なら、2000万円÷20%(0.2)=1億円の売上が必要という感じで。これ以上の売上でやっとプラマイゼロでスタートラインに乗れるという話ですね。非常にざっくりしていますが。
ただ、こんなことを考えずともJTCは絶対にクビにはならないので、ずっと同じ会社にいるつもりなら全く考えなくてよい話。ただ、今後自分の腕でいろいろな会社を渡り歩きたいと思っているなら、この思考法は持っておいた方がよいと思う。
おしまい