一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

会社という狭い世界の呪縛

私の前職のような年功序列のJTCに入社すると、苛烈な出世競争に巻き込まれる。

ヨーイドンで数百人が一斉入社し、何年経っても入社年次について言及されなくなる日はない。腕に掘られた囚人番号のように一生ついて回るのである。

たとえば、社内では、他人のことを話すとき、たとえば「一匹狼さんって”ぜろはち(08)”入社だっけ?」「なら今年15年目か、ぜろはちのトップは岸田くんだよね。彼は今年○○課長だっけ?」といった言い方をする。

 

転職をすると、この呪縛から解放される。

入社をした時点で、各々それまでの経歴やバックグラウンドが違うことにより、スタートラインがまったく異なるので、他人の出世や給料というものにそこまで拘りがなくなる。よって、自分のキャリアと報酬のことだけ気を付けておけばいい、ということになる。

 

気を付けないといけないのは、中途採用をほとんどしていないJTCに中途で入ると、たとえば、2008年大学卒業で別の会社に入り、それから転職して当該JTCに2023年に中途入社したとすると、「08入社相当」と扱われ、どんなに優秀でも08入社で受け取れるトップの役職・報酬以外は与えられない。

これは「転職してくるようなヤツが、自社の同世代のトップより優秀なわけはない」という、なんともウエメセな考え方に基づくものであるが、いろいろな企業の口コミサイトを見る限り、事実のようだ。

 

JTCでは、上述のヨーイドンから主任→係長→課長→部長→役員→取締役→社長と出世レースを勝ち進んでいく必要があるので、そのレースに割り込んで課長や部長からスタートさせるなどということは、許されないのである。

そんな狭い世界でどんな椅子に座るかということは、社内の掲示板で公表されるくらいのつまらない勲章に過ぎないのに、毎日長い時間その競争に晒され続けると、頭の中が洗脳されてしまうのも無理はない。

私は人事面談や上司との日常会話の中で、「そろそろ課長にならないといけない時期だ」とか「上がりたかったら然るべきポジションを打診するぞ」とか、そんな話ばかりにうんざりしていたので、今回の転職は本当によいタイミングだったと思う。

 

ちなみに、日本経済新聞に掲載される上場企業の人事情報も部長級以上しか出ない。

部長以上になれば、一応世間の目に晒してもらえることになるが、それ以下の人事なんて、社内の同期に勝っているという優越感を得るだけの本当にくだらない飴玉なのだ。

私も、日経新聞に載ったら、さすがに1週間くらいは周りに自慢してしまうかもしれない・・しかし、出世を気にするのではなく、結果的にそれくらいの人材になれるよう、頑張っていきたいと思う。

 

おしまい