一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

新幹線車内の殺傷事件について考えてみた

今日はナンパに関係ない記事を書きたいと思う。

 

今朝起きたら、あるニュースが飛び込んできた。

僕は、ついに起きてしまったか・・・と思った。

9日夜、新横浜駅小田原駅の間を走行中の東海道新幹線の車内で乗客が相次いで刺され、警察によりますと、男性1人が死亡、女性2人がけがをしました。車内にいたところを殺人未遂の疑いで逮捕された22歳の男は、「むしゃくしゃしてやった。誰でもよかった」などと供述しているということです。(NHKオンライン

 

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僕は昔、京都にいる女の子と遠距離恋愛をしていたことがある。

毎月1~2回会いに行っていた。

当然移動手段は新幹線である。

東京ー京都間を2時間30分弱で結んでくれる超有能な交通機関であり、乗るたびに文明の発達に感謝したものである。

 

新幹線のメリットは移動速度だけではない。

飛行機に比べ、乗車までの時間という点で圧倒的に優れており、切符の購入後、改札を通ればすぐに乗車することができる。

また、飛行機と違い、指定席が満席でも自由席の切符を購入すれば、全区間立つことになるとしても、最低限目的地には移動することは可能である。

このお手軽感が大好きだ。

 

しかし、このメリットを享受するためには、大きなリスクを引き受けなければならないのである。

乗車までの時間がかからないというのは、飛行機と違い手荷物検査がないことが大きく起因しているので、車内に危険物を持ち込むことは非常に容易なのである。

 

例の彼女に会いに行く際、ふと考えたことがある。

新横浜を出た辺りだったと思う。

次の停車駅は名古屋だった。

距離にして約340キロ、1時間30分弱の間ノンストップなのである。

この間は、新幹線も飛行機と同じで密室となっているのである。

 

もし、ここでテロが起きたらおしまいだな・・・とビールを飲みながら考えていた。

でも、日本は平和だしそんなこと起きっこないか。

 

こんな風に思って自己解決していた。

 

 

 

今回、まさに新横浜ー名古屋間で悲惨な事件が起きてしまった。

 

また、記憶に新しい方も多いと思うが、2015年の6月に、新幹線にガソリンとライターを持ち込んだ男が焼身自殺を図り、巻き添えになった女性も死亡した痛ましい事件もあった。

 

今回再び死者が出る事件が発生した以上、何らかの対応がJRに求められることは間違いないだろう。

日本の鉄道の安全神話はもう終わったのかもしれない。 

 

仮に手荷物検査が導入について、JRに代わって検討してみる。

 

1.乗車までの時間

これが一番のネックだろう。

冒頭で書いたとおり、新幹線利用の最大のメリットはサクッと気軽に乗車できることだと自分は思っている。

手荷物検査を導入したら、間違いなく乗車時間は増えるし、飛行機よりはるかに利用者が多い乗り物なので、検査場に長蛇の列ができることは避けられないと思う。

そんな状況で上手く乗客を捌ききることができるだろうか。

乗り遅れも多発しそうである。

 

2.対飛行機の顧客獲得

1.で述べたとおり手荷物検査が発生すると、従来よりも乗車までに時間がかかるようになる。

交通業界には「4時間の壁」という言葉があるのをご存じだろうか。

新幹線の所要時間が4時間以上になると、利用客が飛行機に流れるというものである。

jigigu4goroさんという方がまとめられていたデータによると、新幹線を3時間47分で結ぶ東京ー広島間の場合は、新幹線と飛行機の利用者数は56対44でJRが優勢である一方、新幹線で4時間50分かかかる東京ー福岡間の場合、JRと飛行機の利用者数は8対92で飛行機が圧倒的に多くなるということだ。

このデータからも「4時間の壁」という理屈は正しいものとして認識すべきだろう。

手荷物検査の導入によりこの「4時間の壁」を超えてしまう地域について、飛行機に顧客が流れてしまうという懸念は、JRとして心理的な障壁になるのではないだろうか。

 

3.新幹線業界の特性

2.で述べたように航空業界との競合は一定の地域であるものの、鉄道業界だけで見ると、新幹線のポジションは独占状態で競合がいないのである。

今回手荷物検査を導入しなくとも、東京から名古屋までの出張や仙台までの出張、おそらくそれが大阪であったとしても、「手荷物検査がないのは保安上心配だ、だから新幹線には乗らない」という選択はなされないのではないだろうか。少なくとも僕はしない。

羽田空港なり成田空港に移動する手間とそこで受ける保安検査の手間などを考えると、今回の一件があったところで、新幹線を利用しないということにはならない人が多いと思う。(「4時間の壁」を超える地域は別)

 

4.コストの性質

また、保安上の対策というのは、多額のコストがかかる一方、会社の増収・増益につながるものではないので、国が資金援助をしない限りJRとしても二の足を踏むのではないか。

ただ、新幹線が国民にもたらしているメリットは莫大なものでかつ競争もない業界なので、国が資金を肩代わりすることも十分ありえそうな気もするし、それで国民の反発を招くこともない気がするが。

 

まとめ

乗車時に何らかの検査を導入すべきだが、新幹線利用のメリットが大きく損なわれることと、業界の特性から具体的な対応がなされることはないのではないかと感じている。

新幹線で手荷物検査を導入するのであれば、在来線の特急電車はどうするのか、停車駅の少ない新快速はどうするのか、普通電車や他社の私鉄や地下鉄はどうするのか、といった議論にもなりそうであり、線引きも難しいだろう。結局、このままうやむやにされてしまいそうな気がする。

 

解決策を提示できなくてもどかしいけれど、今日はこんな感じで。