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【書評】『ストロング本能 人生を後悔しない「自分だけのものさし」』青木真也

今日ご紹介するのは、以前から何度か本ブログで取り上げている、格闘家の青木真也氏の『ストロング本能 人生を後悔しない「自分だけのものさし」』。

 

ストロング本能 人生を後悔しない「自分だけのものさし」

ストロング本能 人生を後悔しない「自分だけのものさし」

 

『ストロング本能』と聞くと、なんとも中二病っぽいタイトルの本だが(笑)、総合格闘技界の異端児の書いた本だけあり、非常に尖った内容の自己啓発書になっている。「強い本能(=ストロング本能)が自分を突き動かすための最高の原動力になる」という考えが本書のベースとなる思想である。 

ざっくりした全体の印象は、昨今流行りの「我慢せずに自分のやりたいように生きる」を推奨するジャンルの本に分類されるので、類書を読んでいる人にはそこまで目新しい内容はないかもしれない。しかし、今ひとつ自分に自信がなかったり、他人の目が気になって行動に移せない人はぜひ本書を手にとっていただくことで、眠っているストロング本能を呼び起こし「ブレない自分軸」が身につくのではないだろうか。

 

さて、本書はその「ブレない自分軸」を手に入れる方法が、誰もが実践できるよう順を追って説明されている。特に本書の趣旨とも言える主張が、2章のタイトルにもなっている、人生を後悔しない「自分だけのものさし」を作るということ。そのコツは弱みを見せずに「うるせぇバカ」と怒ることだと言い放つ(笑)。相手が自分のことを正そうとしてきたとき、そうやって一回一回怒っていると次第に放っておいてもらえるようになると言います。逆に弱みを見せようものなら一気に相手は攻め込んでくると。

 

そのほか、本書で気にいったフレーズをいくつかご紹介。

会社も面倒を見てくれないし、日本という国だって、この先どうなるかわからない。そういう時代だからこそ、本能と生きるべきです。好きなことをやったほうがいいし、好きに生きたほうがいい。自分に噓をついても、得られるものは昔ほどありません。

昔のように国や会社が上り調子であれば、本能を隠し、敷かれたレールに沿って生きていってもよかったのだろうが、すべてが壊れかけている今だからこそ、ストロングな本能と生きるほうが面白いと青木選手は言います。

 

「自分が欲しいもの」と「失うもの」とのバランスをわきまえていないといけません。高い金額をもらう代わりにメンタルをやられてしまうのは、トレードのミスです。

こうした「足るを知る」という思考は青木選手の特徴の一つ。「結果を出さなければ即クビの人生と、自分らしく、ある程度の自由な環境で実力を発揮する人生と、はたしてどちらが幸せなのか」という問いが本書に出てくるが、まったく我々のような会社員にも当てはめて考えることができるのではないか。

 

世の中の多くのことは8割までは到達できます。野球でも、小さな球場でホ ームランを打つことは、たいていの人はできるようになる。いろんな分野でその「8割」を目指して、どんどん新しい「伸びしろ」を探していったほうがいいのです。

これは非常にイメージしやすいと思う。スポーツでなく、勉強で考えても、得意だからといって英語を95点取りに行くより、英語・国語・社会の3教科で80点を取るほうが楽だし、かつ80点取れる実力がある教科が3つある方が強いと言えるだろう。

 

読了感としては、個人的好き嫌いで言えば、よりエッジの効いていた前書の空気を読んではいけないに軍配だが、前書は青木選手の自叙伝的な側面も大きかったので、自身の生活や行動を変えるための指南書としては、本書に軍配が上がると思う。青木選手の本を初めて読む人はもちろん、前書を既に読んだ方にもオススメの一冊!

 

<目次>
序 章 本能はすべてを「シンプル」にする
第1章 「究極のメンタル」で思い通りに生きる
第2章 人生を後悔しない「自分だけのものさし」
第3章 心身を整えて「行動」と「成果」を最大化させる
第4章 心から納得できる「選択」と「決断」のルール
第5章 人間関係のストレスをゼロにする
終 章 生き方を鍛える

 

おしまい