一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

書評『ひとりで生きていく』

昨年末から個人的にハマっている芸人ヒロシの『ひとりで生きていく』を読了しました。孤独を愛する僕にとって、共感できるところだらけの素晴らしい一冊でしたので、久々に書評を書きたいと思います。

 

ひとりで生きていく

 

本書は、タイトルのとおり「ひとりで生きる」ことをテーマに書かれています。「人間関係こそ最も面倒なもの」とまで言い切る著者が、約50年間の人生を振り返り、少年時代や芸人時代の苦悩から、やがてひとりが一番と悟り、ひとりぼっちの人生を謳歌する現在に至るまでのいろいろなエピソードが綴られています。

周りの人間と一緒にいることに居心地の悪いものを感じているのに、「友達がいない寂しい奴」という目で見られることを恐れ、無理やり集団に入れてもらう努力をしていた。そんな少年時代の自分に読ませたい本だと思いました。あの精神をすり減らしていた日々よ・・。

本当は一人が好きなのに、周囲の同調圧力を感じて一人になりきれない人は、ぜひ手に取ってほしいと思います。

 

内容は、1章から4章まで、それぞれ人間関係についての考察・他人との距離の取り方・一人で死ぬためのお金の貯め方・ひとりを謳歌するための趣味の探し方、等がテーマになっています。

前半の1章と2章が特に秀逸で、この2つの章にほぼ本書の魅力は語り尽くされていると言ってもいいと思います。

よくあることですが、一冊ビジネス書の文字数は大体決まっているので、編集の関係で後半は無理やり埋めた感が若干漂っています(内容も薄め)。

最期はおっぱいを吸いながら死にたいとか、かなりつまらない話も出てきます。

 

いくつか印象に残ったフレーズを引用しておきます。

僕のように群れることができずに、ひとりで生きる選択をした者は、誰にも寄生することなく、常に固定させない人間関係の中で生きていくのが大事だ。(04 できないならば中途半端に群れない)

比べる対象がない環境作りこそ大事だ。(10 惨めな場所にいるとよからぬ「一発屋」になる危険も) 

ひとりで生きる人は、できることなら、味方を作ることよりも敵を作らないことを心がけよう。(13 無駄な敵は作らないようにしよう)

ひとりで自由に生きるには、周囲と適度な距離感を保つ必要がある。密接に人とつながった環境にいれば、影響を受けてしまうのは当たり前だ。(14 大人なんだから尖っていても構わない)

「基本ひとり」と決める。そうすれば、ひとりぼっちで不安になることはない。(15 ひとりぼっちがいちばんラク

 

おそらくアラサー以上の世代は「ヒロシです」の一発屋のイメージが強すぎて、ソロキャンプYouTuberとして復活している姿など知らない人も多いかと思います(実際僕もそうでした)。

本書を読めば、狭くて上下関係も厳しいはずの芸人時代も、徹底して先輩芸人に媚びず、一人を貫いていたエピソードなどを見ると、さぞかし大変だったろうなーと当時の彼を想像するとともに、一介のサラリーマンの自分など、いくらでも自分を貫けるなーと改めて自分に誓った次第です。

集団生活に馴染めず悩んでいる人は、とにかく本書を読んでみましょう。「ひとりで生きるのは罪でもなんでもない」と本書から勇気やエネルギーをもらうともに、前向きなぼっちへの第一歩が踏み出せるのではないかと思います。

 

ひとりで生きていく

 

おしまい