昨日、会社の飲み会の帰り、ある駅で降りた。
トイレに行くためだ。
いい歳をしたおっさんが酔いつぶれていたらみっともないし、二日酔いで土日を無駄にしたくないので、最近は帰り道に意図的に水分補給している。だからトイレが近い。
ちなみに、こうした自分の身体への気遣いというものが、アラフォーになると非常に重要となる。
その駅はターミナル駅とまではいえないが、いくつかの路線が交差する駅で、終電間際になると行き交う乗換客で慌ただしい。
僕の家はその駅から数駅なのだが、酔い覚ましがてら家まで歩こうと思い、その駅で降りることにした。
改札に向かって歩いていると、ある路線の最終電車が近づいてきたようで、
「まもなく○○行き最終電車が参ります、お乗り遅れのないようにご注意ください」
というアナウンスが流れた。
コツコツ、とハイヒールを履いた女性が足早に歩く音が背後から聞こえてくる。
振り返ると、俯きフラフラしながら改札に向かっている。
昔なら躊躇なく声をかけていただろう。
しかし、最近はそうした気分にならない。
休日は朝から本を読んだり勉強をしたり、時間をフル活用したいからだ。
このまま家に帰り、風呂で汗を流し、しっかりと洗顔し、サプリを飲んで、睡眠時間を確保する方が先決だった。
よし、帰ろう。
(画像はイメージです)
駅を出ると、心地よい風が吹いていた。
もう夏も終わりだ。
家まで2キロくらいあるだろうか。
懐かしい帰り道をゆっくりと歩く。
思えば何度もアポを組んだ女の子たちと歩いた道だ。
「二軒目に行こう」
と騙し騙し手をつないで歩きながら、結局言いくるめて家に連れ込む、そんなことも多々あった。
そんなことを思い出しながら、家に向かう。
こうして終電前に帰り、健全な時間に寝るなんていつぶりだろう。
女遊びを始める20代前半の頃の記憶が蘇った。
金曜も土曜も日曜もなんの予定もなかったあの頃。
ナンパの師となる先輩と出会い、ナンパスキルや恋愛テクニックを身につけ、幾多の女性と夜を過ごし、気がつけばアラフォーになった。
僕は歳を取ったのだ。
人生を振り返ってみれば、バカをやっていた頃がいちばん面白かった。
いつまでもバカでいられたら幸せだが、人間はいつまでもバカではいられない。
そういうものなのだろう。
おしまい