前回の「議論を避ける」と近い趣旨になるが、「誤りを指摘しない」ということも、相手を説得する上では非常に重要な習慣となる。
相手が明らかに間違ったことを主張していても、その誤りを真っ向から指摘することは賢い行為ではない。なぜなら、相手は自分の自尊心を傷つけられたと思い、余計に意地を張ってしまうからだ。
『人を動かす』では、相手が明らかに間違っている場合においても、このように切り出すことを勧めている。
「おそらく私の間違いでしょう」
ここまで下手に出て言ったら、面倒ごとの起きる可能性はまずないだろう。
僕は、ここまでは言わなくとも「記憶違いかもしれないけど」という前置きをできる限りしてから思っていることを言うようにしている。
以前マッチングアプリで知り合った歳上の女子と、その日のうちにいい感じになったことがあった。
その時、僕らはカウンターで手をつなぎながら、互いの話をしていた。
好きな音楽の話になった時、彼女はブルーノ・マーズのファンだと言った。
僕はブルーノ・マーズの曲は一曲しか知らなかった。
『Marry You』である。おそらくこの曲が一番有名なのではないだろうか。多分読者の皆さんも一度は聞いたことがあるはずだ。
Bruno Mars - Marry You (FULL SONG)
しかし、彼女は、ああ『Marry Me』ね。
と偉そうに言ったのだ。
僕は、『Marry You』という曲名で間違いないことを知っていたので、誤りを指摘した。すると、彼女も意固地になり『Marry Me』だと言い張る。
さらに僕は、覚えていた歌詞を口ずさみ、終いにはYoutubeのアプリを起動し、その画面を見せつけたのである。勝負ありである。
これで、僕が正しいことは証明された。ただ、それで僕は何を得ただろうか。
せっかくの雰囲気はぶち壊しとなり、そのまま解散となった。
『Marry Me』だったねと言って聞き流すか、記憶違いかもしれないけど『Marry You』じゃなかった?と言えるだけの度量があれば、そのまま懇ろになれたかもしれない。大変もったいないことをした。
相手が誰であろうと、相手の誤りを指摘し、口論するような真似はいけない。もっと巧妙に相手を説得する言葉を身につけよう。
相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない。

- 作者: デールカーネギー,Dale Carnegie,山口博
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 1999/10/31
- メディア: 単行本
- 購入: 174人 クリック: 3,319回
- この商品を含むブログ (615件) を見る
おしまい