『人を動かす』より抜粋する今回の人を説得する原則は、珍しくテクニック寄りの内容になっている。
その内容は、「イエス」と言わせる話題ばかりを取り上げていき、できるだけ相手に「ノー」と言わせないようにするものだ。人と話をする時、意見の異なる問題を初めに取り上げるのではなく、意見が一致している問題から話を進めていくのである。
これは、ロバート・B・チャルディーニ博士の提唱する『影響力の武器』の一つである「コミットメントと一貫性」に通ずるものがあるし、ナンパ師のバイブルであるニール・ストラウス氏著『ザ・ゲーム』
にもそのまま「イエスの梯子」というテクニックとして紹介されている(一ナンパ師がパリス・ヒルトンをナンパする際に出てくるテクニック)し、「ナンパ塾」塾長の草加大介氏の『新・「ナンパ塾」完全極秘マニュアル』
にも、「イエス」の返答を連続させる誘導尋問を活用せよと述べられている。
『新・「ナンパ塾」完全極秘マニュアル』に挙げられていた例がわかりやすいので、引用すると、このテクニックはこんな風に使える。
男「キミの会社は残業少ないって言ってたよね」
女「えぇ(イエス)」
男「習い事とかもやってなかったよね」
女「えぇ(イエス)」
男「じゃあ、アフターファイブはけっこう時間あるでしょ」
女「えぇ(イエス)」
男「だったら、今まで食事する機会もなかったし、時間があるときにでも、一緒にお酒でも飲みに行かない?」
まあ、ここまでトントン拍子にいくことは少ないだろうが、女性を口説く際に、まずは肯定的に回答がもらえる質問をぶつけていくことを意識するといいだろう。
同じく、まったく言うことを聞かない部下や後輩を指導する際にも、まずは「イエス」と回答がもらえる質問から入ると結構スムーズに話が進む。例えば、「入社一年目から外回りの営業に出されて大変だよね?」とか、「しかも、慣れない土地でひとり暮らしだし寂しいよね?」とか、そういった導入から話を展開している。部下に気を使う時代になったのだから上司も楽ではない。
ということで、まずは相手が「イエス」と言わざるをえない質問を展開し、次から次へ「イエス」と重ねて言わせることを覚えておこう。そうすると、相手が最初に否定していた問題に対しても、いつの間にか「イエス」と答えさせることができるのだ。
相手が即座に〝イエス〟と答える問題を選ぶ。

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おしまい