一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

書評『声をかける』高石宏輔

今日は最近読んだ本のご紹介。

 

声をかける
★★☆☆☆

 

なかなか特徴的な表紙の本書の著者である高石宏輔さんは、ナンパクラスタ黎明期(2010年代初頭)にSNS上で存在感を示したナンパ師。最近は知らない人も多いだろう。

今日紹介する『声をかける』は、とあるコミュニケーション能力の乏しい25歳の男性が、ナンパを始めてからの心の葛藤を描く小説で、おそらく高石さんの自伝的内容なのだろうと思われる。

看護師・美容部員・人妻・秘書・ホステスなど、様々なバックグラウンドの女性とストリートやクラブ・バーなどで知り合い、関係を結び、別れるという過程が延々と書かれていくのだが、状況描写や比喩表現があまり上手ではないことに加え、残念ながら僕の中では本書から教えや教訓を得ることができなかった。

とにかく主人公が終始メンヘラで読んでいてイライラするのだが、ナンパという行為には負の感情がつきもの(そして得てしてナンパについて来る女性たちも負のオーラをまとっている)なので、彼ら・彼女らの心情は一定程度理解できる。そして、序盤に地蔵する自分に向き合うシーンの描写はナンパを始めた頃の自分を思い出し、非常に共感できる。

この状態が続くのはそんなに長くない。すぐに彼女に声をかけることにとりかからなければならない。もし、この状態を逃したら、また声をかけられなくなる。声をかければ気分が高揚し、この状態が続く。失敗したとしても続く。続かなくなるのは、声をかけることを躊躇したときだ。

ここだけハイライトした(笑)。ガンシカされてもいいから、とにかく一定の周期で女性に肩をかけるのが、地蔵対策としては大事なのである。

 

ナンパがテーマとなっている話だが、ナンパ技術の本ではなく、ナンパ師の心の闇にフォーカスを当てた本だと思って読んでもらったらいいと思う。

でも、声かけをしてからガンシカされる状況がほとんどなく、話しかけた女性と、村上春樹の小説のような会話がいきなり繰り広げられることもあり、いやそれはないでしょと思うシーンも多かった(笑)

 

それにしても、高石さん、いつの間にかネット界隈から綺麗さっぱりいなくなっているようだ。公家シンジさんも最近姿を見ないし。

恋愛工学が流行ってから、ナンパ師を自称する男はなんかどれも紋切り型で、今後も高石さんや公家シンジさんみたいなある種のカリスマ的なナンパ師は出てこないんだろうなー。

 

おしまい