本ブログの大きなテーマの一つが、日本型雇用システムを攻略することです。
日本型雇用システムとはすなわち、終身雇用・年功序列・企業内労働組合のいわゆる「3種の神器」を中心とした日本企業にみられる固有の雇用システムを指します。この3つの仕組みをちゃんと理解して、ローリスク・ハイリターンの人生を送りましょう。
日本型雇用システムとは
終身雇用は、ご存知の通り、業績悪化により倒産しないかぎり、社員を定年まで雇用するという日本の雇用慣行です。
年功序列(賃金)は、勤続年数に応じて、役職・賃金を(ほぼ自動的に)上昇させる人事制度のことです。一定の年次(例えば勤続10年)までは、横並びで昇級・昇格し、 勤続年数が長くなると評価によって差がつくという運用をしている会社が多いようです。
企業内労働組合は、メンバーがその企業の社員だけで構成されている労働組合のことです。海外では、同じ職業や産業の人たちが集まって作る「職業別労働組合」「産業別労働組合」が一般的です。企業内労働組合の場合、労働組合の幹部も会社の社員なので、自身の立場が終身雇用と年功序列に裏打ちされている(しかも労働組合幹部には非常によい次のポストが準備されていることが多い)ので、企業側と労働組合が対立せず、組合側の要求が通りにくいという性質があります。
日本型雇用システムはネズミ講
さて、終身雇用と年功序列はセットです。年功序列賃金下では、若い頃は会社への貢献より遥かに少ない給料で我慢させ、そのあなたの我慢分が中高年社員の給料に回っています。あなたが日系大企業に入ったなら、何もしないおじさんが「次長」という肩書きで年収1000万をもらっていることに不満を感じたかもしれません。あなたは「君も10年我慢したらラクになるよ」と上司や先輩から耳打ちされます。
こうした仕組みは、終身雇用(長期雇用)を前提にしないと、成り立ちません。若い頃に少ない給料で働いた会社に対する「貸金」を、ある日突然解雇されてしまっては回収できなくなってしまうからです。
しかし、この日本型雇用システムには大きな欠点があります。それは、年功序列に応じたポストを会社が準備しないといけないところです。たとえば、30歳で主任、35歳で係長、40歳で課長という年功序列モデルを示しているのであれば、それに見合ったポストが必要になります。
日本経済が右肩上がりで成長していた高度経済成長期という特殊な時代には、会社の規模も拡大していたので、この仕組みは非常に上手くワークしたのですが、それを支えられるだけの好業績がなければ到底続けられるものではないのです。
だから、以前は、年功序列賃金を期待して「社畜」になることを受け入れることについて、社員側にも一定のメリットがあったわけですが、この「ネズミ講」的な仕組みはとっくに破綻しています。大企業の一つの部署に「次長」や「課長」が山ほどいるのはそれを表しているのです。そして、このポストが空かない限り(=彼らが定年や出向でいなくならない限り)、僕らは次長や課長にはなれません。
これからの日本型雇用システムの攻略法
以上を前提にこれからの僕たちの賢い生き方を示します。
まず、先ほど述べたように、多くの企業で一定程度(5年目・10年目など)まで一律に昇給・昇格するポイントがあると思います。そこまでは我慢して人並みに労働を提供します。これは、リターンがほぼ確約されているため、悪くないトレードと言えるでしょう。
実力主義のポイントに到達したら、掌を返したように早く帰る社員に変貌します。周囲は驚くと思いますが、労働法・労働組合(それが形式的なものだとしても)の手前、企業は簡単にあなたを降格させたり、給料を下げたりすることはできません。
早く帰るために、業務の処理スピードを上げます。ストレスなく定時までに処理できるよう業務に通じましょう。注意点としては、あくまでプレイヤーで居続けた方がいいということです。マネージャー(管理職)になると、部下の管理や育成に時間を割かれることになります。
また、転勤や人事異動は極力回避します。別の所属に異動したら、それまでの積み上げはリセットされ、再び早く帰れるようになるまで、業務を覚えていかなくてはいけません。上司にあなたが転勤したら困ると思わせるために、自分にしかできない業務をいくつかもっておくといいでしょう。
あとは、定時に帰り血眼でひたすら勉強します。副業をやります。ビジネスを起こします。会社と自分の人生を段々と切り離していき、会社とそれなりに距離をとって働きます。会社からの給料は「ベーシックインカム」程度に割り切っておけばいいのです。手を抜いても給料が下がらない環境であれば会社を辞めるのはもったいないと思います。
「報われない社畜」に陥らないようにするためには、自分が今勤めている会社への依存度をできるだけ少なくしておく必要があります。「この会社をクビになったら路頭に迷う」 というような意識があると、当然ながら精神衛生上望ましくありません。
しかし、転勤を回避して積み上げてきたあなたのスキルはスペシャルなものになっているはずですし、家で血眼で築いてきた副業・ビジネスも間違いなくスペシャルのはずです。
スペシャリストは従来の総合職(ゼネラリスト)と違い、会社を辞めても同じ専門分野で転職したり、フリーランスになって仕事を続けることができます。
とはいえ、一番はサラリーマン+自身のビジネス(副業)だと思います。これが、攻守で最強だからです。可能な限りしがみつく(依存ではない)のがいいでしょう。
おしまい