一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

積読を救え。──「はじめに」「目次」「おわりに」だけ読む読書法のススメ

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社会人になって読書のペースが極端に落ちた──そんな人間は少なくないだろう。巷では『なぜ働いていると本が読めなくなくなるのか』なんて本も流行っているらしい。かくいう私も、2年ほど前に転職してからというもの、まとまった時間を確保できず、気がつけば本棚は“積読”の山と化していた。

なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書)

それでも知的好奇心は衰えていない。読みたい本はある。だが読む時間がない。そうしたジレンマの中で、私はある読書法を実践している。

 

「はじめに」「目次」「おわりに」だけを読む。たったこれだけの読書法である。だが、これが思った以上に使える。

 

“構造”だけ抜き取る読書

まず、この読み方の本質は、本の主張と構造を抜き取ることにある。

「この本は何を問題としているのか」「どういう順序で話を組み立てているのか」「結論として何を訴えたいのか」──これらの大枠は、はじめに・目次・おわりに、という限られたパーツだけでも十分に把握できる。これは真実だ。

 

たとえば、ビジネス書であれば、目次の各章タイトルを見るだけで、著者の論理展開や思考の型が見えてくる。しかも、読んだ気になれる。加えてゴシック体や太字になっている箇所を読めれば最高だ。厳密には“読破”ではないが、“理解”はできる。今の自分にとっては、それで十分なのだ。

 

心理的負担の軽減効果

読書という行為には、意外と「読み切らなければならない」という強迫観念がつきまとう。積読が多ければ多いほど、この重荷は増す。だが、この読書法を取り入れると、読むことへのハードルが劇的に下がる。

 

読書に必要なのは、時間よりもまず“スイッチ”である。目次と結論を先に眺めることで、脳が読書モードに入りやすくなる。いわば“準備運動”としての読書だ。

 

レバレッジ・リーディング』と『読書の技法』

この読み方は、ビジネス書界隈ではすでに古典的なテクニックとして紹介されている。たとえば、本田直之氏の『レバレッジ・リーディング』では、まず「はじめに→目次→おわりに」を読んで全体を把握し、そのうえで重要箇所だけを読む「16%読書法」が紹介されている。

レバレッジ・リーディング

また、元外務省主任分析官・佐藤優氏の『読書の技法』でも「超速読」として、これと非常に近い読書法が語られている。佐藤は1冊5分で読む“超速読”を通じて、読書価値を見極め、不要な本をスクリーニングする方法を提唱している。

読書の技法

つまり、これは怠け者のための読書法ではなく、多読家・知識人たちが実践する“選書の技術”なのだ。

 

実用化の手順

では、忙しい社会人がこの読書法を生活に組み込むにはどうすればよいか。以下に、私なりの活用術を記しておこう。

 

● 平日30分で「積読スクリーニング」

1冊5分の超速読で6冊を処理。「読む価値A」「拾い読みで済むB」「処分C」と分類する。

 

● 平日のスキマ時間に「B本」消化

移動中や細切れのスキマ時間に“ながら読書”を実施。

 

● 深掘りすべきA本は週末に1冊30分まで

その本の16%だけをじっくり読み、読書メモを作る。

 

● 月末に“読書棚卸し”

行動に移せたか、学びが残ったかを軽く振り返る。実行していなければ翌月に繰り越し。

 

読書を再起動する

本を読めていないことに後ろめたさを感じている者は少なくないだろう。だが、その罪悪感を抱え続けるよりも、まずは“読むふりでもいいから読んでみる”ことが大切なのだ。

読書とは、すべてのページを精読しなければならないという強制ではない。今の自分に必要な情報を、必要なだけ、効率よく引き出せればそれでいい。

 

「読書とは投資である」という言葉がある。その言葉に従えば、読むべき本かどうかを瞬時に見極めるこの読書法は、最小の時間で最大の投資リターンを得る読書術と言える。

 

まずは1冊。いや、「1冊の“はじめに”だけ」でもいい。積読の山に、そっと手を伸ばしてみよう。

そこから、読書のリズムは再び動き出すはずである。

 

おしまい