一匹狼の回顧録

30代の孤独な勤め人がストレスフリーな人生を考える

社内政治における「情報」の価値

社内政治ほどくだらないものはないと日々思う。

一方、社内政治ほど使い勝手の良いものもないと感じる。

 

先週、一人で珍しく残業していると、遅くに業務用携帯が鳴った。

部長からで、営業先からの戻りで今ワタクシの家の最寄駅にいるので飲みに行かないかと。

2週間ほど溜めていた営業報告を作成していた中で、めんどくせえなと思いながらも飛んで行った。

ワタクシはよく「3回に1回は職場の人間と飲みに行った方がよい」と言っているが、上司・先輩からのサシ飲みの誘いは他の予定をキャンセルしてでも参加すべきと考えている。

なぜなら、社内政治的なコスパが非常によいからだ。よほど仲が良ければ別だが、単純な息抜きやストレス解消のための飲み会なら二人きりで行く必要はなく、その時その時で何かしらの意図があって呼ばれることがほとんどだからだ。

こういった時は相手に貸しを作る大きなチャンスだ。

 

その部長は、超自信家で、自分だけ偉くなれればいいと考えているので、部下に興味がなく、基本的に職場の人間と二人で飲みに行くようなことはしないのだが、最近自身の求心力がないことにようやく気づき、営業部の全社員(派遣社員含む)と良好な関係が築けているワタクシに一目を置いたようで、いろいろと情報を引き出したかったようである。

 

社内政治において、この「情報」は強い武器となる。

社内には、日々膨大な情報が流通している。

全社通達で流れる一般的な情報から、ある部署内で送信されたメール、新製品のリリース・新規事業の検討などの非公式情報、翌年度誰が昇進・異動するのかといった人事情報から日常会話でやりとりされる愚痴まで、雑多な情報が飛び交っている。

その膨大な情報に可能な限りアクセスし、上手に活用する。これができる人は社内で非常に有利な立場に立つことができる。情報力=政治力と言ってもよいかもしれない。

 

今回も酔っ払った部長から貴重な情報がたくさん引き出せたので、これをまた営業部のメンバーと関わっていく中で有効活用していこうと思う。

これも社内政治に興味ないがゆえ、中立的な立場でほぼ全てのメンバーの本音にアクセスができるというパラドックスの産物である。

部長は平社員の内心が気になるだろうし、平社員は部長の評価が気になるだろう。

そうした役職間の壁の間に立ち、その情報格差を利用し上手く橋渡しするのが、30代の中間管理職の賢い立ち回り方なのだと思う。

 

ただ、当然なんでもかんでも情報を流出していい訳ではもちろんない。

男たるもの基本的に口は堅くありたいもの。法令違反のケースなどを除き「ここだけの話」は口外しないのが原則。一度人間同士で交わした約束は守るべきだ。

言って良いことと悪いことを上手く峻別し、具体的な話を一般化して話したり、実際に見聞きした話を自分の推測に置き換えたりして、相手に適切・適度な情報を与える。その対価としてまた価値の高い情報が入手できるので、その繰り返しによって、社内政治における情報強者になることができるのである。

繰り返しになるが、大切なのは本心から社内政治に興味を持たないことで、情報を嗅ぎ回っているうちは情報は回ってこないということを覚えておくといいだろう。

 

おしまい